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バゲット

仕事の帰りに、駅のパン屋さんで
お店用のパンを買った。
背の高い籠から頭をだしているこんがりした数本から
いちばん手前のを取ってトレイに載せる。

バゲットをトレイに載せる、というのは
結構バランスをとりにくいものだ。
バゲットを入れるためか、
もしくはたくさんのパンを買うひとのために、
少し深めの取り籠が用意されているパン屋さんもある。
でも、私の知っているほとんどのお店には
当たり前のようにトレイしか用意されていないので、
手でじかに持ったままレジへ向かうこともある。

でも、今日のパンは熱かったのだ。
ほかほか、というよりも、あつあつ。
一瞬、手で触れて「あつ、」と思った。
駅のパン屋さんはいつも混み合っていて、
レジにもひとが並んでいる。
じかに持ったまま順番を待つのは無理、と思うくらい
それは熱かった。

バランスを崩さないようにゆっくりと、
トレイに載せたパンを運んでレジに並ぶ。
レジは二台あって、それぞれにひとりずつの店員さんが
計算をし、パンを袋に入れていく。
半透明のビニール袋にひとつひとつのパンを入れて
テープで留め、
それをさらに大きな袋へまとめて入れる作業を、
店員さんはとても手早くこなしていく。
前に立っているお客の顔を見る暇も、ほとんどない。

でも、順番が来て、私のトレイを受け取ると
店員さんは、ぱっと私の顔を見た。

・・・ああ、店員さんも今、「あつ、」って思ったな。

と、わかった。
店員さんは、顔をぱっと見たことの言い訳をするみたいに、

「よかったですね。焼きたてで」

と微笑んだ。
どう返事をすべきか、ちょっと迷った。
今、ここで、ぱりっとした皮のバゲットをちぎって
食べられるなら、「焼きたて」はすごくうれしい。
でも、家まで持ち帰り、さらに店へ持っていき、
お客さんがバゲットや、バゲットを添えてだすチーズを
注文する頃には、このパンはもう焼きたてじゃないのだ。

そう思うとちょっと哀しくなった。

けれど、そんな話を長々としているわけにはいかない。
私は一瞬躊躇したあと、

「そうですね。冬ならもっとよかったんですけど」

と言った。
微笑んだつもりだったけれど、
困った顔になっていたかもしれない。
でも、冬ならば、
こうばしい匂いのするパンの熱さを抱えて帰る、
その時間を楽しむことができるのに。
焼きたて、が「よかった」ことになるのに、と思った。

そのくらいパンは熱くて、
今日はとても暑い一日だった。
# by onlymoonshine | 2006-08-06 15:20 | crescent moon

5月の読書感想文

やっと、UPしました。

Annie's Dining」読書感想文のページ、
“Afternoon Library”に新しい感想文がお目見え。
それも、今頃「5月」の感想文ですよ。

い・ま・ご・ろ・5月

おっそいよ!
んとにもう、ぁにをやってるんでしょうね。
なんじゃかんじゃと忙しかったのは事実。
でも、もう8月なんだぜぃ。

おまけに時間がたってしまうと、
細かいデティールがあやふやになってきます。
ひとさまの書かれた本について、
感想を書くわけですから適当なコトは書けません。
なので、また読み返すわけですが、
何度読んでも良い本は良い。
最初に読んだ時とは、また違う部分にも心惹かれたりして。

そんなわけなので、5月の読書感想文は長い!です。

3月と比べると、ものすごく長い。
こんなに長い文章、読んでくれる人がいるのでしょうか。
これからは、「読んだら書く」を心がけよう、と思う次第です。

でも、まだ6月と7月の感想文が・・・。
は、早く書かないと、どんどん遅れていっちゃうので、
頑張らなくては。

良かったら“Afternoon Library”、覗いてみてくださいね。
# by onlymoonshine | 2006-08-05 11:44 | crescent moon

秘密

昨日借りてきたDVDの中から、まず
「ステップフォード・ワイフ」を観ました。

ジャケットに
「この街の妻たちには秘密がある」
と書いてあったので、
妻たちが何か秘密を抱きながら暮らしているお話
かと思っていました。

が、

秘密を持ってたのは夫の方でした!

とはいえ、ナンセンスな世界です。
夫たちの切なる願望をかなえた、
男のためのエゴイスティックなファンタジー。
全体的にはブラックコメディですね。

ニコール・キッドマンが綺麗でした。
彼女の役は凄腕のTVプロデューサーなのだけれど、
その時は黒ずくめの服で、髪も黒っぽいミディアムショート。
颯爽としたキャリアウーマンの彼女が、
企画した番組で大問題が起きたことから会社をクビになる。
落ち込んで神経衰弱気味になった彼女は、
環境の良い場所へ引っ越して一からやり直そうと夫に提案し、
家族揃ってステップフォードの街へ引っ越します。

でも・・・ステップフォードに住む妻達はみんなどこか変。
いつもヒラヒラのワンピースにお帽子。
みんなブロンド。そして、みんなスタイル抜群。
お掃除もお料理も完璧で、夫の言うことにけして逆らわない。
でも、なんだか街全体におかしな雰囲気が漂っているのです。

街になじめないジョアンナ(ニコール・キッドマン)なのだけれど、
夫に「きみはワガママで傲慢だ」と言われ、
その今までにない強い態度に自分を変えてみようかと思い直して
ステップフォードの妻らしくなろうと努力し始める。
後半、バリバリの“ステップフォード・ワイフ”になったニコールの
そりゃ綺麗なことったら。
セミロングのブロンドに、淡い色のワンピースを着て、
ほんとにお人形さんみたいなのですよ。
これが夫達の理想とする妻です、と言われたら
ああ、でも、そうかもなぁ、と納得してしまいそう。
いや、でも、エゴなんだけど。

久しぶりに観たベット・ミドラーもコミカルで良かった。
ステップフォードの街の、主婦代表みたいなクレア役を演じる
グレン・クローズにも笑えました。
このクレアが主婦を集めて「クレアロビクス」という
エクササイズをやらせるのですが、

「さあ、洗濯機になったつもりで!」

と言って、ノリノリで「♪チュグチュグチュグチュグ、チュグチュグチュグチュグ」
洗濯物をかき回すような動き。

「次は、脱水よ。フワァッ!」

ニコールは頭を抱えてましたが、
私はお腹を抱えて大笑いでした。

出演者は豪華ですが、
軽めで楽しめる映画でしたね。
# by onlymoonshine | 2006-08-04 14:28 | half moon

そういえば・・・(続やさぐれ妻)

TSUTAYAで何を借りようかな~っ、と
歩き回っていたら、
またもやちょっと笑える(?)DVDを見つけてしまいました。

「女子高生チェーンソー」

なんか残酷そうな映画なんですが、
宣伝文句(?)に笑いました。

「ほとばしる鮮血!舞い上がるパンティ!」

なんやそれ。
なんでパンティが舞い上がるのでしょう?
スカートが舞い上がって、ぱんつが見える、
というならワカルのですが。

うーん、もしやと思っていたら
やはりアルバトロス・フィルムでしたねぇ。
「アスラ」を出してたとこですよ。やるなぁ、アルバトロス。
アルバトロス、ってアホウドリだものなぁ。わはは。
# by onlymoonshine | 2006-08-03 16:52 | moonless

やさぐれ妻

旦那さまは今日も未明から釣りに出かけている。
昨日訊いたときには「今日は行かないよ」と言っていたのに、
夕べ急遽行くことになったのだ。
まあ、それは良しとしましょう。
釣りへ行く、と言いだすのはいつも急だし、
行ってもいい?じゃなく決定事項なのは毎度のこと。

以前はゲームに明け暮れていて、
ゲーム中に話しかけるのは危険だと悟ったので、
結局ずっと家にいてもあまり会話がないし、
だから私が出かけても同じでしょ、と思うのだけれど
「家にいるのといないのは違う」とか、
「家にいるから安心してゲームできるんじゃん」とか、
よく彼は言っていたものだ。

私も冗談に、
「仕事で、ゲームで、3番目が私(タテマエ上)」
などとぼやいたりしていたものだけれど、
知り合った頃は2番目の「ゲーム」が「ビリヤード」だったし、
それ以前は「ギター」だったのだろう。
その彼がインドア派からアウトドア派へと唐突に転身し、
「仕事で、釣りで、3番目が私(タテマエ上)」
になっただけのことである。
不動の第3位。光栄と思うべきなのか。

家のなかでずっとゲームをしているよりは
すごく健康的だと思うし、
ゲームの中で狩りをしても獲物は食べられないけれど、
釣りならば時には美味しいお魚をご馳走になれるので、
彼がアウトドア派になったことは、まあ、良いことなのだ。

しかし。店の定休日の今日、
彼は釣りから帰ると知人と食事の約束をしている。
そして、夜は一緒に飲みに行くはずだったのに、
フットサルの練習をしにいく、と言う。
出ずっぱり、ではないですか。と文句をたれたら、
いや、食事して帰ってきたらフットサルまで寝るよ、とのたまった。

寝るよ。なんじゃそれは。

休日くらいしかゆっくりごはんを食べることも出来ないので、
私は昨日から「休日ごはん」の準備をしていたのである。
知人との食事の約束は前から決まっていたので仕方ない。
でも、そんなに予定を入れちゃったら
ごはんをゆっくり、どころか、一緒に食べるヒマもない。

今日の私は「釣り、知人と食事、フットサル」に次ぐ第4位(タテマエ上)。
ぐれるよ。
妻は、やさぐれるよ。
一人で過ごすのは元来好きな方なのだけれど、
なんだかすっぽかされたような感じがイヤなんだよぅ。
まぁ、勝手にそんな気になってるんですけどね。

冷蔵庫のなかに準備してある「冷しゃぶサラダ」や
旦那さまの好きなかぼちゃ煮をやけ食いしてしまおうか、と
考えてはみたものの、太るのは自分。
こんなことで自分にツケが回ってくるのは馬鹿らしすぎる。

虚しいような気持ちで、TSUTAYAへDVD返却に向かう。
そうだ。めいっぱいDVD借りてしまえ。
新作も借りちゃうぞ、贅沢に。やけレンタルだ。(・・・ちぃせぇ)
ふと、えっちなビデオを借りて
“昼下がりの淫乱妻”を演じてみようか、という
妄想がよぎる。
ぎょっとするだろうな、旦那さま。
でも、『そっちのコーナー』へ足を踏み入れたことがないので
“淫乱妻”計画は断念。
まあ、そんな自分を想像しただけで、ちょっと愉快な気持ちにはなった。

借りたDVDは5本。

「コール」・・・サスペンスな気持ちになりたくて。
「ステップフォード・ワイフ」・・・秘密を持つ妻に憧れて。
「ある日どこかで」・・・愛に泣きたくて。
「ダンス・ウィズ・ミー」
     ・・・「Darty Dancing」のジョニー役が出てるので、つい。
「ある子供」・・・贅沢に新作。

旦那さまの留守中に観ようっと。と、あれこれ選んでいたら、
店内のBGMでスピッツの「魔法のコトバ」が流れた。

♪魔法のコトバ 2人だけにはわかる

情緒不安定なときに、こんな歌を聴くのはやばい。
映画は観ていないけれど、
「ハチミツとクローバー」は今のところ全部読んでいて、
現在はぐちゃん(主人公)がものすごく心配。
片想いが連鎖していく物語はせつない。
なんだかなぁ、という自分の淋しい気持ちと、
ハチクロのせつなさがごっちゃになってウルウルしてきた。

やばい、やばい、とDVDをカウンターで受け取り
車に乗り込む。
走り出した瞬間、Car Radioから

♪魔法のコトバ 2人だけにはわかる

おぅい。
なぜに私を追ってくるの、スピッツ。キャンキャン。犬じゃない。
またウルウルしちゃうじゃないの。
はぐちゃんが心配。
そのままドラッグストアへと車を走らせ、
そうだ、ここで衝動買いをしよう、と思う。
衝動買いをしよう、と思ってる時点で衝動買いじゃないのですが。
それもタカシマヤとかじゃなくて、ドラッグストアで。(・・・ちぃせぇ)

旦那さまのアトピー薬を買う。二個も買う。贅沢。
アトピーの患部を寝てる間にひっかいちゃうので、
血まみれになるシーツを洗うためのシミとり洗剤も買う。
アトピーには乾燥が良くないので、
皮膚の弱いひとにもいい入浴剤をさがす。
なんだよぅ。旦那さまの物ばかり買ってるじゃん、と思ったので
私専用のちと高いトリートメントを予備で買う。贅沢。
ペディキュア用のネイルも買う。ラメラメゴールド。贅沢。
会計をしたら、ポイントが溜まりましたので、と
500円分の商品券を手渡される。
贅沢に衝動買いをする、と言ってたわりに喜ぶ。(・・・ちぃせぇ)

そして、荷物を提げてドラッグストアから出ようとする私の背後から

♪魔法のコトバ 2人だけにはわかる

今日はスピッツの日か。
やさぐれ妻の本日の鼻歌、「魔法のコトバ」に決定。



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# by onlymoonshine | 2006-08-03 11:13 | moonless