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ごほうび

自分にごほうび。とかね。
よく言いますけれども。
あまりよく使われすぎる言葉なので、
ごほうびのありがたみが薄れるような気も
するんですけれども。

私はわりと自分に甘い人間なので、
しょっちゅう自分にごほうびしてしまう。

たとえば、本。
たぶん月間にして20冊近くは買っている。
大部分は古本で、
私が愛用している「古本市場」とか「ブックオフ」で
送料無料になる2.000円以上を目指すとなると、
文庫本で10冊近くは買うことになる。
でも、読みかけの本を持って仕事に行くと、
行きの車内や休憩時間で読み切ってしまったりして、
そうなると帰りに読むための本を書店で買ってしまう。
古本じゃなくピカピカの新本。贅沢だわ。
でも、今日も頑張って仕事したわけだしな。
ごほうび、ごほうび。

たとえば、入浴剤。
最近は「ゲルマニウム入浴剤」がちょっぴりマイブーム。
でも、旦那さまは最近アトピーがひどくて、
そういう入浴剤は使えないばかりか、
お風呂につかるだけでもしみて痛がるので、
ぬれタオルでそーっと体を拭いてあげるだけ。
だから、お風呂にお湯をためるのは私だけのためだし、
おまけに「ゲルマニウム入浴剤」は
お洗濯に使えないものもあったりする。
シャワーで済ませた方が断然経済的じゃないかと思う。
でも、お店の立ち仕事で足が疲れたり、
書き物仕事で脳みそがクタクタだったりすると、
やっぱりお風呂にゆっくりつかりたいな~と思ってしまう。
まあ、いいか。
今日も結構がんばったわけだしな。
また足がつっちゃうのも大変だしな。
ごほうび、ごほうび。

沢山お湯を使うのはさすがに気がひけるので、
半分くらいにして半身浴。
それでも十分贅沢な気がする。
だって子どもの頃は、お風呂を沸かすと
家族がみんなそのお湯を使ったんだものなぁ。
さらに、お洗濯にも使えないなんてエコじゃないよなぁ。

せめてその分満喫しなくては、と
私は長々とお風呂を愉しむ。
地球に優しくないお風呂は、私に優しい。

自分にとっての贅沢なこと、が
だんだんシンプルになってきたような気がする。
欲がないのか、といえば、けしてそうではないし、
ちょっとした贅沢に関していえば
ずいぶん自分に甘いのだけれど。

ちょっとした贅沢で自分にごほうびする時、
私は恵まれているなぁ、としみじみ思える。
旦那さまは今、アトピーで仕事ができないけれど、
これが会社勤めだったら
痛くて痒くて辛くても仕事に行かなければ
クビになっちゃうかもしれない。
でも、お店なら私だけでも開けられる。
それが出来るのは私が健康に恵まれているからだし、
お店という場が私達に与えられた幸運があるからだ。

お料理だって、旦那さまのようなプロの作るものじゃないし、
厨房に入っている間は、
カウンターの仕事に手が回らなかったりして
申し訳ないのだけれど、
それでもお客さまは足を運んでくれて、
「大丈夫?」と気遣ってくれる。
本当にありがたくて頭が下がる。
私達はお客さまに恵まれているんだなぁ、と思う。

今日も友達が電話をかけてきてくれて、
ゆっくり休ませてあげればいい、
困ったときは手伝いに行くから、と言ってくれる。
簡単に甘えてはいけない、と思うけれど
その言葉はとてもとても嬉しくて心にしみる。
ひとに恵まれる、というのは
望んでもなかなかできることじゃない。

ちょっとした贅沢をしながら、
恵まれている自分に感謝する。
いっぱいごほうびをもらってるなぁ。
もっともっとがんばれるなぁ、と思う。

そして、
私も誰かのごほうびになれるといいな、と
おこがましくも願ったりする。
# by onlymoonshine | 2006-09-08 14:56 | half moon

仲人さんの里帰り

続・厨房の人 Annieです。

先週はお盆明けのせいか、わりとお店がヒマで、
お料理もお通し以外は一日一品出るか出ないか、
って感じだったんだけれど、
昨日は結構厨房にこもりました。

チーズの盛り合わせとツナ玉子のホットサンドと
枝豆とフレンチトーストとトマトソースのパスタ。
相変わらず喫茶店のようなメニューですわね。
枝豆に使う塩の量にちょいとびっくり。
軽く土俵入りできるくらいにたっぷり。
皮むいて食べるから大丈夫ですけどね。

注文を受けつつ、お友達のお子さまに感想文のご指導。
小学生の感想文って、ほとんどあらすじだけで
マス目を埋めちゃうんだよな、と思いながら
自分で書いてきたのを見たらまさしくその通り。
原稿用紙二枚半だから、感想はほんの数行になっちゃう。

そしてまた厄介なことに、感想文を書く“ネタ”であるところの
本が「絵本」。
絵本って、ほとんど絵で見せる本なわけで、
文章はわりと抽象的。
心理描写、といえるものがないのです。

手始めに時間をかけて、お子さまに本の話をしてもらう。
こういう行動をした、という場面で
「どうしてそうしたのかな?」
と訊ねて、彼が考えたことを下書きの紙に書き写していきます。
はじめは本に書いてある言葉通り、
「いやだったから」
「したくなかったから」
と短く答えていくのを、さらに
「どうしていやだったんだと思う?」
「なぜしたくなかったのかな?」
とさらに訊ねる。

難しい顔をして悩むお子さま。ガンバレ。
この作業は、子どもに演技のレッスンをする時も同じ。
行動の裏にある意味を考える作業です。
ここでこちらが意味づけをしてはいけない。
ねばる私。黙っているお子さま。そしていきなりあくび。オイコラ。
時間はかかっちゃうけどね、
自分のなかからヒントをみつけないと
自分の言葉を文章にすることはできないから。

その根ほり葉ほりな作業で、短い本にも関わらず、
結構長い下書きができたので、
そこからはお母さまにタッチして清書。そして厨房にこもる私。

昨日は私達の仲人をしてくれた“ほっしー☆”が
突如南アフリカへの長い出張から一時帰国して
お店に顔を出してくれました。
久々に聴くほっしー☆のギター。やっぱ、うまいぞぅ。
これも偶然お店に来てくれた、旦那さまの父上が
そのギターで歌う。素敵です。
ギターと歌に酔い、ワインに酔い、
そのまま父上のお店へとなだれこんでさらに酔う、
正しい酔っぱらいな一夜。おかげで今日は頭が重い。

一時帰国は一週間だけで、また南アフリカへ戻るほっしー☆。
今回はお子ちゃまの夏休みの終わりにギリギリ間に合わせるための
家族サービス帰国だそうです。
お父ちゃんはえらい。
お子ちゃまは男の子2人だから、ほっしー☆のいない間、
奥さんもいっぱいいっぱいになっちゃうだろうしね。
女だと、どうしても大げさに考えてしまうことも、
男同士ならではのスタンスで
大丈夫なのか、ちょっと問題なのかを見極めて
きちんと一本釘をさすこともできる。
去年はロンドン、今年はアフリカと長期出張の多いほっしー☆だけど、
どこかでいつも頼りにされている心のよりどころなんですね。

ほっしー☆が初仲人をした、私達にとっても
いつも気に掛けてくれるお父さん的存在。
いや、年齢は私よりちょっと上なだけなので、
お父さんじゃ怒られますが、あくまで“的”ってことで。

私が困った顔をしていると、
必ず「そんなことはなぁ、」で始まる大らかな言葉で
気持ちを整理してくれる。
久しぶりに逢えて、ちょっと心が軽くなりました。
頭はまだ重いけどね。(飲み過ぎだ)

帰国前にもう一度逢えるといいなぁ、と
切に願う私なのでした。
# by onlymoonshine | 2006-08-28 19:09 | half moon

微妙

先日、お客さまから聞いた話。

このお客さま、私とは古い知り合いなのですが、
お店を始めてからなかなか逢う機会がなかったところ、
共通のお友達に連れられてご来店の運びに。

とても喜んでくれて、あまり間を置かずに
また来てくださった時にこんな話をしてくれました。

「この前、知り合いの女の子と話してたら、
最近すごくお気に入りのお店が出来た、っていうの。
『ちょっと隠れ家的な店なんだけど、
 気軽に飲めて楽しいし、お料理もおいしいし、
 ワインなんかも置いてあってね、
 で、お店に来る人みんなすごく歌がうまいの。
 それを聴くのも、とっても楽しみなんだ~』 って。
あれ?それってPick Houseじゃない?って聞き返したら
なんで知ってるの~?ってことになって(笑)」

人づてにほめ言葉を聞くのって、嬉しいものです。
お気に入りのお店、だなんてスゴク光栄。
でもね。
すごくほめてもらえてるにも関わらず、私のなかに微妙な気持ちが。

あのぅ・・・うちって隠れてる

隠れるつもりは毛頭ないので。
もしもホントに“隠れ家的”だとしたら、
全然意図したことじゃないので。
真っ黄色の看板でかでか掲げてるし!
天狗連のパンフにも広告載せてるし!

でも、ま、街なかからはちょっと離れてるからなぁ。
それでも周囲に飲み屋さんは数軒あるんだけど。

ここはポジティヴに考えて
“隠れ家的”は最近のほめ言葉だと思えばいいのでしょうか。
堂々と看板に書いとこかな。

『隠れ家パブ Pick House』

みつけてよ~、って感じアリアリですな。
# by onlymoonshine | 2006-08-25 18:30 | half moon

続ポジティヴ・トーキング

店の厨房で、昨夜は海老グラタンを作りました。
続・厨房の人、アニーです。

横からご指導を受ける。

「海老の背わた取って、縮まないように筋入れて伸ばして
 くるっと巻いて尾っぽをピンと上に立てて」

そんなにめんどくさいんですかぁ?
冷凍小エビじゃダメなんですか。そうですか。
まあ、お客様は「んまぃ」と言ってくれたので良かった。
マカロニ茹でたら大量に茹ですぎました。
うちにもって帰って付け合わせにするからいいのだ。

んで、眠い。とっても、眠い。
今はお店休めないけど、〆切が怒濤。
こんな時こそのポジティヴ・トーキングなのだけれど、
頭が悪いので、じゃない、頭が回らないので(やはり悪いノカ)、
適当に「眠い」→「可愛い」にしてみたらば。

「だんだん可愛くなってきた」

いいよね。いい感じだよね。

可愛気ざましのコーヒー飲もう」

可愛げなくなっちゃうのか。いかんな。
あ、でもこれだと
「眠り狂四郎」は「可愛い狂四郎」になっちゃうわ。
あははぁ。

さて、可愛いけど、仕事しよう。
# by onlymoonshine | 2006-08-24 14:14 | moonless

ポジティヴ・トーキング

包帯グルグル巻きで半分ミイラ化している旦那さま。
先日、アトピーをかきむしって全身血だるまになったため、
ひっかき予防も兼ねてのグルグル巻き。
傷口からは血や、私達が「汁」と呼ぶところの液体が
ずっとにじみ出ています。
旦那さま液状化現象

まあ、髪の毛が変な色に染まったせいで、
「美しくなければ生きている意味がない・・・」と
泣きながら溶けはじめたハウルほどの液状化ではない。
「ハウルの動く城」って感動ポイントがいまいちわからないんだけど。

ハウルは置いといて。

その液状化のおかげで、ガーゼや包帯が傷に張りつくため、
はがす時はものすごく痛そうです。
でも、傷口を洗浄して薬をつけねばなりません。
「かゆい」と「痛い」だけを交互に口にする旦那さまに、
こんなご提案をしてみました。

「『かゆい』、って言わない。
 代わりに『おいしい』って言ってみて」

辛い状況をちょっと楽しんでみましょう、と。
どう表現したってかゆいものはかゆいし、
痛いものは痛いんだけれど、
そればかりを口にしていると
ますます意識しちゃうんじゃないかと思うんです。
つらさとは逆の快楽的なコトバで表現すれば、
もしかしたら脳みそがだまされてくれるかもしれないし。

え~、そんなん無理、と言ってる旦那さまを促して、
レッツ ポジティヴ・トーキング

「あっ、おいしい。ちょっと腰のとこがおいしくなってきた」

自分で言って、わはは、と笑っている。いいぞぅ。

「痛いときは『涼しい』って言ってね。はい、ガーゼはがすよ」
「うぅぅ、涼しい涼しい」
「わぁ、ここカサカサになっちゃっておいしそう~」
「おいしそう、って、わはは」

笑ってのけぞった瞬間、旦那さまの頭が床にゴチン。

「うっ、・・・すず・・・」

かゆい→かゆくない、痛い→痛くない、という言い換えよりも、
まったく関係ないコトバで言う方が、
一瞬考えないと出てこないぶん気が紛れるみたい。
結構オススメですよ。ポジティヴ・トーキング。
# by onlymoonshine | 2006-08-22 12:24 | half moon