バゲット

仕事の帰りに、駅のパン屋さんで
お店用のパンを買った。
背の高い籠から頭をだしているこんがりした数本から
いちばん手前のを取ってトレイに載せる。

バゲットをトレイに載せる、というのは
結構バランスをとりにくいものだ。
バゲットを入れるためか、
もしくはたくさんのパンを買うひとのために、
少し深めの取り籠が用意されているパン屋さんもある。
でも、私の知っているほとんどのお店には
当たり前のようにトレイしか用意されていないので、
手でじかに持ったままレジへ向かうこともある。

でも、今日のパンは熱かったのだ。
ほかほか、というよりも、あつあつ。
一瞬、手で触れて「あつ、」と思った。
駅のパン屋さんはいつも混み合っていて、
レジにもひとが並んでいる。
じかに持ったまま順番を待つのは無理、と思うくらい
それは熱かった。

バランスを崩さないようにゆっくりと、
トレイに載せたパンを運んでレジに並ぶ。
レジは二台あって、それぞれにひとりずつの店員さんが
計算をし、パンを袋に入れていく。
半透明のビニール袋にひとつひとつのパンを入れて
テープで留め、
それをさらに大きな袋へまとめて入れる作業を、
店員さんはとても手早くこなしていく。
前に立っているお客の顔を見る暇も、ほとんどない。

でも、順番が来て、私のトレイを受け取ると
店員さんは、ぱっと私の顔を見た。

・・・ああ、店員さんも今、「あつ、」って思ったな。

と、わかった。
店員さんは、顔をぱっと見たことの言い訳をするみたいに、

「よかったですね。焼きたてで」

と微笑んだ。
どう返事をすべきか、ちょっと迷った。
今、ここで、ぱりっとした皮のバゲットをちぎって
食べられるなら、「焼きたて」はすごくうれしい。
でも、家まで持ち帰り、さらに店へ持っていき、
お客さんがバゲットや、バゲットを添えてだすチーズを
注文する頃には、このパンはもう焼きたてじゃないのだ。

そう思うとちょっと哀しくなった。

けれど、そんな話を長々としているわけにはいかない。
私は一瞬躊躇したあと、

「そうですね。冬ならもっとよかったんですけど」

と言った。
微笑んだつもりだったけれど、
困った顔になっていたかもしれない。
でも、冬ならば、
こうばしい匂いのするパンの熱さを抱えて帰る、
その時間を楽しむことができるのに。
焼きたて、が「よかった」ことになるのに、と思った。

そのくらいパンは熱くて、
今日はとても暑い一日だった。
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# by onlymoonshine | 2006-08-06 15:20 | crescent moon

5月の読書感想文

やっと、UPしました。

Annie's Dining」読書感想文のページ、
“Afternoon Library”に新しい感想文がお目見え。
それも、今頃「5月」の感想文ですよ。

い・ま・ご・ろ・5月

おっそいよ!
んとにもう、ぁにをやってるんでしょうね。
なんじゃかんじゃと忙しかったのは事実。
でも、もう8月なんだぜぃ。

おまけに時間がたってしまうと、
細かいデティールがあやふやになってきます。
ひとさまの書かれた本について、
感想を書くわけですから適当なコトは書けません。
なので、また読み返すわけですが、
何度読んでも良い本は良い。
最初に読んだ時とは、また違う部分にも心惹かれたりして。

そんなわけなので、5月の読書感想文は長い!です。

3月と比べると、ものすごく長い。
こんなに長い文章、読んでくれる人がいるのでしょうか。
これからは、「読んだら書く」を心がけよう、と思う次第です。

でも、まだ6月と7月の感想文が・・・。
は、早く書かないと、どんどん遅れていっちゃうので、
頑張らなくては。

良かったら“Afternoon Library”、覗いてみてくださいね。
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# by onlymoonshine | 2006-08-05 11:44 | crescent moon

秘密

昨日借りてきたDVDの中から、まず
「ステップフォード・ワイフ」を観ました。

ジャケットに
「この街の妻たちには秘密がある」
と書いてあったので、
妻たちが何か秘密を抱きながら暮らしているお話
かと思っていました。

が、

秘密を持ってたのは夫の方でした!

とはいえ、ナンセンスな世界です。
夫たちの切なる願望をかなえた、
男のためのエゴイスティックなファンタジー。
全体的にはブラックコメディですね。

ニコール・キッドマンが綺麗でした。
彼女の役は凄腕のTVプロデューサーなのだけれど、
その時は黒ずくめの服で、髪も黒っぽいミディアムショート。
颯爽としたキャリアウーマンの彼女が、
企画した番組で大問題が起きたことから会社をクビになる。
落ち込んで神経衰弱気味になった彼女は、
環境の良い場所へ引っ越して一からやり直そうと夫に提案し、
家族揃ってステップフォードの街へ引っ越します。

でも・・・ステップフォードに住む妻達はみんなどこか変。
いつもヒラヒラのワンピースにお帽子。
みんなブロンド。そして、みんなスタイル抜群。
お掃除もお料理も完璧で、夫の言うことにけして逆らわない。
でも、なんだか街全体におかしな雰囲気が漂っているのです。

街になじめないジョアンナ(ニコール・キッドマン)なのだけれど、
夫に「きみはワガママで傲慢だ」と言われ、
その今までにない強い態度に自分を変えてみようかと思い直して
ステップフォードの妻らしくなろうと努力し始める。
後半、バリバリの“ステップフォード・ワイフ”になったニコールの
そりゃ綺麗なことったら。
セミロングのブロンドに、淡い色のワンピースを着て、
ほんとにお人形さんみたいなのですよ。
これが夫達の理想とする妻です、と言われたら
ああ、でも、そうかもなぁ、と納得してしまいそう。
いや、でも、エゴなんだけど。

久しぶりに観たベット・ミドラーもコミカルで良かった。
ステップフォードの街の、主婦代表みたいなクレア役を演じる
グレン・クローズにも笑えました。
このクレアが主婦を集めて「クレアロビクス」という
エクササイズをやらせるのですが、

「さあ、洗濯機になったつもりで!」

と言って、ノリノリで「♪チュグチュグチュグチュグ、チュグチュグチュグチュグ」
洗濯物をかき回すような動き。

「次は、脱水よ。フワァッ!」

ニコールは頭を抱えてましたが、
私はお腹を抱えて大笑いでした。

出演者は豪華ですが、
軽めで楽しめる映画でしたね。
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# by onlymoonshine | 2006-08-04 14:28 | half moon

そういえば・・・(続やさぐれ妻)

TSUTAYAで何を借りようかな~っ、と
歩き回っていたら、
またもやちょっと笑える(?)DVDを見つけてしまいました。

「女子高生チェーンソー」

なんか残酷そうな映画なんですが、
宣伝文句(?)に笑いました。

「ほとばしる鮮血!舞い上がるパンティ!」

なんやそれ。
なんでパンティが舞い上がるのでしょう?
スカートが舞い上がって、ぱんつが見える、
というならワカルのですが。

うーん、もしやと思っていたら
やはりアルバトロス・フィルムでしたねぇ。
「アスラ」を出してたとこですよ。やるなぁ、アルバトロス。
アルバトロス、ってアホウドリだものなぁ。わはは。
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# by onlymoonshine | 2006-08-03 16:52 | moonless

やさぐれ妻

旦那さまは今日も未明から釣りに出かけている。
昨日訊いたときには「今日は行かないよ」と言っていたのに、
夕べ急遽行くことになったのだ。
まあ、それは良しとしましょう。
釣りへ行く、と言いだすのはいつも急だし、
行ってもいい?じゃなく決定事項なのは毎度のこと。

以前はゲームに明け暮れていて、
ゲーム中に話しかけるのは危険だと悟ったので、
結局ずっと家にいてもあまり会話がないし、
だから私が出かけても同じでしょ、と思うのだけれど
「家にいるのといないのは違う」とか、
「家にいるから安心してゲームできるんじゃん」とか、
よく彼は言っていたものだ。

私も冗談に、
「仕事で、ゲームで、3番目が私(タテマエ上)」
などとぼやいたりしていたものだけれど、
知り合った頃は2番目の「ゲーム」が「ビリヤード」だったし、
それ以前は「ギター」だったのだろう。
その彼がインドア派からアウトドア派へと唐突に転身し、
「仕事で、釣りで、3番目が私(タテマエ上)」
になっただけのことである。
不動の第3位。光栄と思うべきなのか。

家のなかでずっとゲームをしているよりは
すごく健康的だと思うし、
ゲームの中で狩りをしても獲物は食べられないけれど、
釣りならば時には美味しいお魚をご馳走になれるので、
彼がアウトドア派になったことは、まあ、良いことなのだ。

しかし。店の定休日の今日、
彼は釣りから帰ると知人と食事の約束をしている。
そして、夜は一緒に飲みに行くはずだったのに、
フットサルの練習をしにいく、と言う。
出ずっぱり、ではないですか。と文句をたれたら、
いや、食事して帰ってきたらフットサルまで寝るよ、とのたまった。

寝るよ。なんじゃそれは。

休日くらいしかゆっくりごはんを食べることも出来ないので、
私は昨日から「休日ごはん」の準備をしていたのである。
知人との食事の約束は前から決まっていたので仕方ない。
でも、そんなに予定を入れちゃったら
ごはんをゆっくり、どころか、一緒に食べるヒマもない。

今日の私は「釣り、知人と食事、フットサル」に次ぐ第4位(タテマエ上)。
ぐれるよ。
妻は、やさぐれるよ。
一人で過ごすのは元来好きな方なのだけれど、
なんだかすっぽかされたような感じがイヤなんだよぅ。
まぁ、勝手にそんな気になってるんですけどね。

冷蔵庫のなかに準備してある「冷しゃぶサラダ」や
旦那さまの好きなかぼちゃ煮をやけ食いしてしまおうか、と
考えてはみたものの、太るのは自分。
こんなことで自分にツケが回ってくるのは馬鹿らしすぎる。

虚しいような気持ちで、TSUTAYAへDVD返却に向かう。
そうだ。めいっぱいDVD借りてしまえ。
新作も借りちゃうぞ、贅沢に。やけレンタルだ。(・・・ちぃせぇ)
ふと、えっちなビデオを借りて
“昼下がりの淫乱妻”を演じてみようか、という
妄想がよぎる。
ぎょっとするだろうな、旦那さま。
でも、『そっちのコーナー』へ足を踏み入れたことがないので
“淫乱妻”計画は断念。
まあ、そんな自分を想像しただけで、ちょっと愉快な気持ちにはなった。

借りたDVDは5本。

「コール」・・・サスペンスな気持ちになりたくて。
「ステップフォード・ワイフ」・・・秘密を持つ妻に憧れて。
「ある日どこかで」・・・愛に泣きたくて。
「ダンス・ウィズ・ミー」
     ・・・「Darty Dancing」のジョニー役が出てるので、つい。
「ある子供」・・・贅沢に新作。

旦那さまの留守中に観ようっと。と、あれこれ選んでいたら、
店内のBGMでスピッツの「魔法のコトバ」が流れた。

♪魔法のコトバ 2人だけにはわかる

情緒不安定なときに、こんな歌を聴くのはやばい。
映画は観ていないけれど、
「ハチミツとクローバー」は今のところ全部読んでいて、
現在はぐちゃん(主人公)がものすごく心配。
片想いが連鎖していく物語はせつない。
なんだかなぁ、という自分の淋しい気持ちと、
ハチクロのせつなさがごっちゃになってウルウルしてきた。

やばい、やばい、とDVDをカウンターで受け取り
車に乗り込む。
走り出した瞬間、Car Radioから

♪魔法のコトバ 2人だけにはわかる

おぅい。
なぜに私を追ってくるの、スピッツ。キャンキャン。犬じゃない。
またウルウルしちゃうじゃないの。
はぐちゃんが心配。
そのままドラッグストアへと車を走らせ、
そうだ、ここで衝動買いをしよう、と思う。
衝動買いをしよう、と思ってる時点で衝動買いじゃないのですが。
それもタカシマヤとかじゃなくて、ドラッグストアで。(・・・ちぃせぇ)

旦那さまのアトピー薬を買う。二個も買う。贅沢。
アトピーの患部を寝てる間にひっかいちゃうので、
血まみれになるシーツを洗うためのシミとり洗剤も買う。
アトピーには乾燥が良くないので、
皮膚の弱いひとにもいい入浴剤をさがす。
なんだよぅ。旦那さまの物ばかり買ってるじゃん、と思ったので
私専用のちと高いトリートメントを予備で買う。贅沢。
ペディキュア用のネイルも買う。ラメラメゴールド。贅沢。
会計をしたら、ポイントが溜まりましたので、と
500円分の商品券を手渡される。
贅沢に衝動買いをする、と言ってたわりに喜ぶ。(・・・ちぃせぇ)

そして、荷物を提げてドラッグストアから出ようとする私の背後から

♪魔法のコトバ 2人だけにはわかる

今日はスピッツの日か。
やさぐれ妻の本日の鼻歌、「魔法のコトバ」に決定。



メインダイニングはこちら 「Annie's Dining」
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# by onlymoonshine | 2006-08-03 11:13 | moonless

美意識

最近になって気づいたのだけれど、
私にとってものごとを判断する基準は
美しいか、美しくないか、なんだろうと思う。

見た目や香りや、味わいなどについては
もちろん誰でも自分なりの嗜好があって、
自分にとっての正解が
他人にとっても正解である、なんて
押しつけがましい、おこがましいことは思わない。

自分が楽しむための物やことは、
他人にいくら変だといわれようが一向に構わない。
それが周囲にとって迷惑なものごとである場合は、
ひそやかな楽しみにする必要もあるけれど。

ことば、はとても難しくて、
ある人がつかうととても素敵に響いたり、
品を損なわず格好良く聞こえたりすることばが、
また別の人が発すると
まったく似合わなかったり、みっともなかったりする。

ことば、が人を選ぶのだと思う。

「品がよい」ことと「気取っている」ことは違うし、
「くずす」ことと「下卑る」ことも違う。
要はそのひとに何が備わっているか、なのだ。
ないものを、あるように振る舞えば「気取り」になる。
くずす、というのは、何かがそこにあるから崩せるのであって、
何もないところへさらにマイナスを重ねるのは、
ただただ下品な振る舞いになるだけだ。

これは、本当に昔、何かの本で読んだのだけれど、
ある家の娘が、真夏の昼下がり、
シュミーズ1枚の姿で部屋から出てきて裸足で台所に入り、
冷蔵庫から取り出した牛乳にそのまま口を付けて飲んだ、
その姿に胸の痛くなるような気品があった・・・、という
場面があった。
普通、これをしてしまうとだらしないだけの女になる。
気品というのは恐れ多いな、と感じて、
本のタイトルさえ忘れてしまったのに
なぜかこの場面だけが印象的に残っている。

ただ、品格というものは、
お嬢様やお坊っちゃまに生まれなくても備わるものだ。
それはやはり、そのひとの美意識によるものだと思う。
美意識と、その美意識に従って客観的に自分を観る目をもつこと。
似ているようで、まったく違っているものが
世の中にはあまりにも多くて、
だからこそ、勘違いしている人も大勢いる。

たとえば。

「堂々としている」ことと、「開き直る」こと。
「親しさ」と、「なれなれしさ」。
「はめをはずす」ことと、「悪のりする」こと。
「気を配る」ことと、「おもねる」「へつらう」こと。
「可愛がる」ことと、「見下す」こと。
「信じる」ことと、「依存する」こと。

一歩間違うことが大きな違いになってしまう。
そして、この一歩を見間違わせるのは
往々にして他人と、そして自分への甘えであり、
見間違わないために必要なのが
自分に対する厳しさなのだと思う。
きちんと自分を持っているかどうか、ということ。

「自分の良心に従って判断しなさい」、とよく言うけれど
その「良心」とは、私の場合、
「美意識」という言葉に置き換えられる。

その美意識に従って、長年自分をいましめているのは
「酔う」ことと、「酔っぱらう」ことの違いである。
酔う、ということばは美しいけれど、
酔っぱらう、ということばは美しくない。
この「一杯」を見間違えないことが、目下の目標ってとこかな。
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# by onlymoonshine | 2006-08-02 14:21 | moonless

Darty Dancing!

だいぶ古い映画、だと思うのですが・・・
観ました 「Darty Dancing」。

今度は間違いなくダンス系の映画どした。
いや、「TAPS」をタップダンスの映画だと思いこんでレンタルした
腹いせ、というわけじゃないんだけど。

良かった。
何がって、ダンスが素敵。そして、パパと娘も素敵。
彼氏は私のタイプじゃないけど、でも踊りが素敵だからよし。
物語の中ではほとんど活躍しないママが
最後にピッ、とパパを止めるところも、
「あぁ~、ママはみんなわかってたんだ」
と、なぜかそこで感動。

舞台は1960年代のアメリカ。
その当時は、バカンスの間に家族で山荘へ行く、というのが
流行っていたのですね。山荘。つまりロッジ。
日本の規模ではないですよ。すごく大きなロッジ。
見ず知らずのいろんな家族や夫婦が山荘に集まってきて、
そこでひと夏を過ごすわけです。

ダンスパーティーや、ゲーム大会、イベント、
バレーボールやゴルフなどのスポーツ教室や、
ダンス教室なども山荘の主催で開かれます。

主人公のベイビー(*本名はフランシス)は医者の娘で、
両親と姉とともにこの山荘へやってきます。
山荘では学生や若者が夏のアルバイトをしてるわけですが、
それが二つの派閥に分かれている。
名門校の大学生で、品の良いウェイターとして働く青年達。
上流階級の娘さんに、ちょっとしたロマンスを与える役割も担います。
もう片方は、「娯楽係」と呼ばれるダンス教師やバンドメンバー。
彼らはいわゆるブルーカラーの出身で、
お嬢さん達に話しかけることは御法度です。「身分が違う」から。

ベイビーは来年から大学生になる純粋で前向きな女の子。
将来は「平和部隊」に入って、貧しい国の人々を救う人になりたい、
と思っていたりして、恋人はもちろんパパ。
そんな彼女はダンスパーティーで、
ダンス教師のジョニーとペニーの踊りにホレボレとみとれます。
彼女自身は全く踊れず、すぐに人の足を踏んづけちゃうんですが。

この、最初のジョニーとペニーのダンスが圧巻なのですねぇ♪
なにしろ、ペニー(女性)がかーっこいい!
映画のなかでもポイントとなる「リフト」っていう技があるんですが、
それがすごーく高い!
高く上がって、サーッと下に落ちて抱えられる、という一連が
ものすごくかっこいい。
私もこの技、実はやらされた(?)ことがあるのですが、
怖くて怖くて怖くて全然飛べないし、
タイミングが合わずに相手をけっ飛ばしたりもして、
非常に苦い思い出のある技なんですけれどもね。

そして、山荘を探索していたベイビーは
「スタッフ宿泊所・お客様はご遠慮下さい」と看板の出ている
コテージ村みたいな所へ入っていき、
そこで踊っている「娯楽係」さんたちを目にする。

それはまさに「Darty Dance」。
うわぁ、というくらいセクスィーで、
「こんな踊りをメインフロアで踊ったら、全員クビ」ってくらい。
呆気にとられながらもみとれるベイビー。

「みんな、こんな踊りをどこで習うの?」
「習う?さあ、物置きかどこかじゃない?」

そんなやりとりにも笑いつつ。
そこへジョニーとペニーが戻ってきてセクスィー全開で踊る。
この2人はダンサーとしてはカップルですが、
恋人どうしというわけではありません。

ジョニーとベイビーの出会い。
彼の手ほどきで初めて踊るたどたどしい「Darty Dance」。

ジョニーからすれば、ベイビーは「声をかけるのも御法度」な
お嬢さんで、てんで相手にならない子どもなわけですが、
ベイビーは彼に恋心を抱いてしまいます。
そんな矢先。ペニーの妊娠が発覚。
相手はもう片方の派閥の、イェール大生で
子どもを産むわけにはいかないし、
またここは山荘なので医者もいない。
巡回の医者が来ることになっているのは
1週間後の木曜日で、でも、その日ペニーはジョニーと
よそのホテルのショーに出演することになっている。

「どうしようもないわ」と、泣くペニーを
「きっとなんとかなるわよ」と慰めるベイビー。
しかし、お嬢様にはわからない、何が出来るっていうんだ、と
ペニーにもジョニーにも言われてしまったベイビーは
売り言葉に買い言葉。
ペニーの代わりにショーに出る、と言ってしまうのです。

そこから始まる、ジョニーとのレッスンの日々。
これが、なかなかオモシロイのですなぁ。
教えてもらったステップが全然出来なくて
ヒステリーをおこすベイビーも可愛い。
そして、「リフト」の練習場面。
負荷を軽くするため、湖に入って練習をする。
この場面がとっても美しい。

なかなか見所いっぱいの素敵な映画、なわけですが。
でも・・・やはり1シーン、どうしてもツッコミを入れずには
いられない場面がありましたね。

そこはジョニーの部屋。
ベイビーとの非常にロマンティックな場面なのですが、
見つめ合う2人の視線がからまり・・・
ゆっくりとカメラがパンしていくと・・・
なぜかそこにはデカデカと「酒」という漢字の書かれた
真っ赤なちょうちんがあるのです。

赤ちょうちん!
それも「酒」

台無しじゃ~、と呻いた私ですが・・・。
でもま、その当時流行っていたのかも知れませんね。
ジャパネスク・ブーム。
そんなツッコミどころも押さえつつ、ぜひ観て頂きたい映画です。
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# by onlymoonshine | 2006-08-01 12:33 | full moon

父と子

昨日、BBQに参加させてもらった時のこと。

トイレに行きましょう、と公園のなかを歩いていたら、
誰かの歌うような声が聴こえてきました。
それは、ちょうど二家族くらいの外国人ファミリーが集まって
芝生の上でピクニックをしていた辺り。

ははぁ。お国柄ね。
みんなで輪になって料理を囲み、誰からともなく歌い出す、
そんな映像を目にしたことは何度もあります。

が、その声を聴きつつ歩く私の前に飛び出してきたのは
青い服を着た少年。
彼は一瞬、ピタリと足を止めましたが、
再び喉から笛のような音をたてながら、
道を横切って走り去って行ったのです。

ああ。あれは泣き声だったのか。

そう気づいてファミリーの方を見ると、
みんなが後かたづけをしているなか、
走り去る少年を腕組みしてギロリと睨んだまま立っている
お父さんの姿が。
その横でお母さんが心配そうに少年の名を呼んでいます。

おお。怒っている。
ま、これもよくある光景だな。

そう思いつつトイレへ行き、その道を戻ってくると
後かたづけはすっかり終わり、
ファミリーの車も少し離れた場所へ移動していました。
そこへ、また私の前に飛び出してくる青い服。
二度目のご対面となる少年に、

「車はあっち。早く戻った方がいいわよ」

と言うと、
少年はしばらく躊躇していたようですが、
また車とは反対の方向へ駆け出しました。
誰かが迎えに来るまで戻らないぞ、ということでしょう。
そして、つまりそこには、
誰かがきっと迎えに来てくれる、という
絶対的な信頼、もしくは期待、もしくは甘えがあるわけです。

そういった甘えを腹立たしく思う場合も、
特に親の立場からすればあって当然ですが、
私にとってはその信頼が
なんだか羨ましくもありました。

私なら、きっとすぐ、不安で張り裂けそうになってしまう。
誰も私を置いていかない。
誰も私を忘れない。
私を嫌いになったりしない。
そんな自信はまったくありません。そう、こどもの頃から。
だから、最初からひとりだ、と思うほうが楽なのです。
在るものがなくなるのは哀しいけれど、
最初から無いものならばサバサバしていられます。
期待をする、ということは、私にとってとても勇気のいることです。
ひとりぼっちでいることよりも。

てくてくと道を下っていき、
ファミリーの車が停まっている場所へさしかかると、
少年のお母さんが車の横に立ち、
額に手をかざして公園を見回していました。

「青い服を着た男の子?」

私が訊くと、お母さんは途方にくれたような顔で
「そうです、そうです」と頷きました。

「あっちの方に走っていきましたよ。戻って来にくいみたいね」

ちょっと笑ってそう言うと、お母さんは、へな、と眉毛を下げて

「ホントにもう・・・グズグズ、グズグズ・・・」

と言いながら、運転席のお父さんに早口で何か言い、
私に頭を下げて駆けだして行きました。
運転席のお父さんは、それでもしばらく怖い顔のままで
お母さんの駆けていった方を睨んでいましたが、
ブウン、と車を発進させ、
少し小高くなっている所へ移動して様子を見守っているようです。

(たぶん、あの子が意地っ張りなのはお父さんに似たのね)

少し可笑しくなって、
私はてくてく、てくてく、と戻っていきました。
あの笛のような泣き声の少年は、
いったい何をしでかしたのかしら、と思いながら。
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# by onlymoonshine | 2006-07-31 14:51 | half moon

Music of Heart

最近、DVDの感想ばかり書いてる気もしますが。

久々にメリル・ストリープを観ました。
やっぱりこのひとの存在感ってすごいね。
そして、バイオリンって素敵ね。

バイオリンというと、どうしても
お嬢様やお坊ちゃまが嗜むもの、というイメージにとらわれますが、
それはアメリカでも同じようで、
でも、この映画はスラム街の子ども達にバイオリンを教える女性の
実話に基づく物語。

映画を観ていて、悲しくて泣く、とか、せつなさに泣くのは、
歳を重ねるとともに涙もろさも倍増してきた私には
よくあることなのですが、
この映画では「感動」の涙というものを久々に味わいました。
もう最初の発表会でボロボロでした。

そんな感動のなかでも、ふと冷静になってしまったのは、
夫と別れて子ども2人を連れ、スラムの街へ引っ越してきた主人公が
10年後、息子たちのいたずらで交際相手募集のコーナーに
名前を載せられてしまった時。

「いったいなんて書いたの?」と、問いただす母。
すると、息子達は
「独奏に疲れた三十代後半の女性と合奏する勇気のある方。
 バイオリンが魂をみたし、ラザニアが胃をみたす。
 ・・・洒落てるでしょ?」
と、言うのですが・・・・。

ちょっと待て、と。三十代後半?
ってことは10年前に旦那さんと別れた時は
二十代後半ってことですよね。

それは・・・いくらなんでも無理があるだろう、メリル女史。

まぁ、そんなツッコミ部分もございますが、良い映画でした。
お薦めです。


ついで、と言ってはなんですが、
ショーン・ペン(またかよ)と愛妻のロビン・ライト・ペンが共演した
「She's So Lovely」も観ました。

イカレてました。ええ。
破滅的なほどの愛、運命の恋ってやつですね。
ショーン・ペンは壊れた役がよく似合う。

「大変だ。地球はコンピュータと7人の女に支配されている。
 赤い髪、緑、青、黄、紫、橙の髪、そして・・・ハゲの女だ。7人だろ?」

色の順番は微妙ですが、最後の無理矢理な「ハゲの女」に笑いました。
「パリ、テキサス」の主役だった俳優さんも良かった。
ま、でもきっとワクワク・ハラハラ・ドキドキ好きな旦那さまが観たら
「え~・・・なに、この終わり方」と言いそうな話。
一人で観て正解でした。
だって壊れてるんだからさ。ムチャクチャですよ、それは、ねえ。
でも、そういう愛もあるってことだ!
 
映画を見終わったあとで、
「特典映像」の日本語版予告編というのを観たら、その最後に

「キレた2人の 純な愛」

というナレーションが入りました。
そう言ってしまえば、そうなんですけどね。
でも、その一言で語ってしまうって、どうなんでしょう。
映画の邦題っていうのも、なんでやねん、なタイトルがよくありますが
予告編にもあるんだな、こういうの。
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# by onlymoonshine | 2006-07-27 19:43 | half moon

TAPS

若きショーン・ペンの出演作、ということでレンタルしてみました。
「TAPS」。
へぇ~、ショーン・ペンってタップダンス踊るのね。

はい。
単純にそう思って借りたのですが、
映画が始まればそこは幼年士官学校・バンカーヒル。

ここで踊るのか?
士官学校に通っていながら踊り始めちゃうのか?

それでもまだ心のドコカでそう思っていた私はおばかさん。
「TAPS」ってね、葬送ラッパのことでしたよぅ。

青いけど、重い。
そんな映画でしたね。
青春は残酷です。

この映画には若きショーン・ペンも、ティモシー・ハットンも、
そしてトム・クルーズも出ているのですが、
いやぁ・・・トム・クルーズ、太ってます。目を疑いました。
まるまるとして、軍服ぱつんぱつん、ですものね。
そのぱつんぱつん・クルーズが、最後の方でおかしくなって銃を乱射。
まさに、トム狂う図。スマン。

旦那さまも「うわ~」と言いながら観てましたが、途中でチラッと映った人が

「あれ?これ、ニコラス・ケイジ?」
「わ、ほんとだ~、ニコラス・ケイジも出てたんだ~」

と、2人で盛り上がるくらいに似ていました。
でも、念のため、と思ってニコラス・ケイジのフィルモ・グラフィー調べたら
載ってないんですよ。この「TAPS」は。

違うのかなぁ・・・でも似てたなぁ・・・。

「シティ・オブ・エンジェル」という、
「ベルリン 天使の詩」のハリウッド版の映画がありましたが、
ニコラス・ケイジは天使の役で出てきますね。

ニコラス天使が女の人(メグ・ライアン)に惚れてしまい、
いつも彼女のそばにつきまとってるんですが、
女の人にはそれが見えない。
女の人が哀しんでいると、カーテンの陰(だったかしら)から
すぅっとニコラス天使が出てきて
後ろから彼女をそっと抱きしめたりする。
もちろん彼女は、それにも気づかないわけですが。

その場面で、映画を一緒に観に行っていた当時の彼が言いましたね。

「見えなくてよかったね。
 ニコラス・ケイジがいきなりカーテンから出てきたら怖いよね」

うぷぷっ。
とてもせつない場面だというのに、
私にはもうどうしてもニコラス・ケイジが天使に見えなくなってしまいました。
もちろん「ベルリン 天使の詩」でも、
天使は今までの「エンジェル」概念をやぶったおじさんでしたが、
ニコラス・ケイジは、なぁ。
犯罪者顔(コラコラ)が部屋にいたら確かに怖い。
でもさ、一応だれもそこにはつっこまない約束で
この映画が成り立つというものでしょうが。

言わない約束、を破ってくれた彼のおかげで
全然映画に入り込めなかった私なのですが。

でも、言いたくなる気持ちはよくわかりました。
毛深い天使はちょっといやです。
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# by onlymoonshine | 2006-07-25 20:36 | crescent moon