カテゴリ:half moon( 37 )

母ノミタユメ

「この前ねえ、夢かうつつか・・・」

ふいに思い出したように、母が話しはじめる。

「お父さんが閻魔さまと議論をしてたわ」

飲みかけたビールにむせそうになるのをかろうじてこらえて、
閻魔さまと、っていう段階でもうそれは夢じゃないの、と言う私に
生真面目な顔をして「混ぜ返さないで」と母は言う。

夢かうつつか、なんて言うから、と言いかけて私は口をつぐんだ。
いつだって彼女は大まじめなのだ。
だから、つっこまれたり茶々を入れられたりすると真剣に怒る。
こういう時は黙って話を聞くに限るのだ。
それで?、と私が目で促すと、母は頷いて話を続けた。


閻魔さまの前っていうのは、お白州のような所でしょう。
生きてきた間にしたことが全部そこで明らかにされて、
犯した罪によって地獄へ行くか極楽へ行くかを決められるの。
地獄にもいろんな場所があって、
ほら、針の山みたいな所とか、灼熱地獄なんかもあるわけよ。

で、お父さんもいろんな罪状を並べられるんだけど、
閻魔さまに向かって
「良いか悪いかの判断なんて、人の主観で変わるものだ。
 あんたの主観で地獄だの極楽だの、勝手に決められちゃ困る」
なんて言い返してるの。


ははぁ、お父さんらしいね、と私が頷くと、
「でしょう?」と母はため息をついた。
「絶対に、はいそうですか、なんて言わないんだから。
 誰にだって理屈をこねて、議論をふっかけるのよ。
 閻魔さまにたてついたって、仕方ないのにねぇ」。
いや、まあそれはあなたの見た夢であって、
つまり夢の中で父にそう言わせているのはあなたなんだけど、と
おかしくなるのを我慢して、私も「そうよねぇ」と眉をひそめて見せる。


「物事の一面しか見ずに判断するのはいかがなものか。
 ある面から見ると善なることが、他の面から見れば悪であったり
 するものだろう。自分の主観だけで判断せず、
 あらゆる角度から考察すべきではないのかね!」

父の口振りを真似しながら、目を剥きテーブルをドン!と叩く
迫真の演技に苦笑しつつ、「で、閻魔さまはどうしてるの?」と訊く。


それがねえ、お父さんが長々と演説をぶってるものだから、
閻魔さまも辟易しちゃってね、こう、椅子の肘掛けをトントンしながら
「言いたいことはわかった」って話を打ち切ろうとするんだけど、
「いや、言いたいことの半分も言ってないのに、わかったなんて
 言われちゃ困る」
って、お父さんは話し続けるのよ。
後ろもだいぶつかえてきてますから、なんて閻魔さまの部下が
耳打ちしてきたりして、ますます閻魔さまはイライラして、
トントン、コツコツ肘掛けを叩くの。そうするとお父さん、
「人が真面目に話してるんだから、真摯な態度で聞くべきだ」
なんて注意してるの。「時間はたっぷりあるんだから」って。
もうお父さんの後ろにはずらーっと人の列が出来てて、
みんながお父さんの演説を聴いてるのよ。


ははぁ、もうそれはお父さん止まらないね、と笑う私。
閻魔さまの前にどっかり腰をおろして話し続ける父の
いきいきした表情が目に浮かんでくる。
死後の世界の存在など、およそ信じていたとは思えない父なので、
地獄の業火に焼かれる姿も、極楽で蓮の池のほとりに佇む姿も
なかなか想像し難いのだけれど、
閻魔さまと議論中、というのは父に一番ふさわしいような気がする。

私がいつかそこへ行くまで、父が議論を続けていてくれたなら、
長い長い列の後ろから、父の熱弁を聞かせてもらいたいと思う。



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by onlymoonshine | 2007-05-12 13:09 | half moon

夢ノハナシ

私の夢。

ここのところ、ずっと怖い夢をみていた。
斎場に行ったときのショックのせいだと思う。

夢のなかでは、
なぜかあの棺を乗せて運んでいく台の上に
布団がしいてあり、そこに母が寝ている。
母はこちらに顔を向けて、横向きに寝て、
きょとんとしたような目で私たちを見ている。

え、間違ってるよ。ちがう、ちがう。

そう思って止めようとするのに、
係員はガガーッと台を押して、母を窯の方へ連れていってしまう。
あのガラス戸の向こうに連れて行かれたらもう戻れない。
必死で追いかけようとするところで、目が醒める。

「お母さんが!」

汗びっしょりになって、布団をはねのけると、
旦那さまがやってきて、どうしたの、と訊く。

お布団に寝たままでね、目を開けてこっちを見たままでね、
お母さんが運ばれていってしまったよ。

私の説明を黙って聞いてから、旦那さまは
お布団のままなんておかしいね、
生きているのに連れて行かれるなんて変だね、
だから、それは夢だよ、と言う。
夢だとわかっても、とても怖い。

ずっと怖い夢を見ていたけれど、
父は一度も夢のなかに現れなかった。
それが、父の死からちょうど2週間がたった昨夜、
というか今朝の夢に、父がようやく登場した。

父は目を閉じたまま、籐の椅子に座らされている。
亡くなったときと、ちょうど同じように
私たちは家族で父の顔を覗き込んでいる。
すると、父が目を開けた。
「お母さん、」と私は声をあげる。
「お父さんが目を開けた!」

それはまるで、亡くなった時の逆回しのような感じだった。

ゆっくりと目を開けた父は、
でもやはり元気でぴんぴんしてるわけではなくて、
力のない声で「ちょっと静かにしていて」と言う。
ちょっと生き返っただけで、また逝ってしまうのかもしれない、と
私は気が気じゃなくて、でも、もしまた逝ってしまうなら
今度は父の死に目に会えるように旦那さまを呼ばなくちゃ、と
携帯電話を取りにいこうとする。
でも、目を離した隙にまた父が目を閉じてしまうんじゃないかと
心配で、母に「ここを離れないでね」と頼むのに、
なぜか母はのんきに「お茶でもいれましょう」と
立ち上がろうとする。

「ダメだってば、そこにいてよ」
「ちょっとお茶をいれてくるだけよ」
「ちょっとでもダメだってば」

のんきな母にいらだちながら、言い合っていると
父がまた静かな声で私たちをなだめるように言う。

「俺ならお茶はいいよ。もう死んでるんだから」



旦那さまの夢。

さぁやちゃんは、暴れ熊の調教師だったよ、と
旦那さまが言う。
「暴れ熊?」
そう、すごく凶暴なの。2メートル半くらいの大きい熊。
さぁやちゃんがしばらく面倒をみることになった、って言うから
友達と一緒に見に行こうと思ったら、
向こうからさぁやちゃんが熊と寄り添ってやってくるんだ。

その熊はさぁやちゃんといる時だけ、おとなしいの。
だからさぁやちゃんは寝る時も熊と一緒。
暴れ熊を調教して、おとなしくなったら群れに帰すんだって。
つまり、さぁやちゃんは熊の更正員みたいな仕事をしてるんだよ。

熊って、群れになってるんだっけ。
それに、熊の更正員ってなんなんだ?

そう思いつつも、「それで?」と訊く私。

はっ、と気づいたら
暴れ熊が勝手にさぁやちゃんの家から出てきたんだ。
さぁやちゃんが一緒じゃない、やばい、と思って
全速力で走ったんだ。
追っかけてくるの。ものすごく速いんだよ、熊。
ほら、夢の中ってさ、全速力で走れないでしょ、普通。
それが、やってみたら走れるんだよ。
だけどさ、夢の中なのに疲れるの。

「へえ・・・」
夢の中って全速力で走れなかったかな。
私は夢の中で走ろうとすると、
いつも人にぶつかって走れないから、
まだ全速力をだせたことがないのかもしれないけど。

そう考えながら、旦那さまの話の続きを待ったけれど、
どうやらまた夢の中へ戻ってしまったようで、
暴れ熊がその後どうなったのかはわからなかった。



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by onlymoonshine | 2007-03-06 17:08 | half moon

じゅうたんコロコロ

カーペットの上を転がしながらお掃除するやつ。
ロール状の粘着テープに、
掃除機では取りきれなかった糸くずやゴミなどが
大量にくっつく。

あのコロコロした後の粘着テープは
人を不安にさせますね。

なんで、こんなに髪の毛が、とか
なんで、ここにこんな毛が、とか。
(微妙な違いをご理解下さい)

そして、“こんな毛”を発見してしまった時に
この色合いは俺のじゃない、
いや、この毛質は私のじゃない、と
互いに言い張って譲らないお馬鹿な夫婦。


本当に、なぜここに、と思うような場所で
それは発見されることがある。
パソコンデスクの引き出しから発見した時は
本気で情けなくなった。



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by onlymoonshine | 2007-02-03 11:40 | half moon

ジョージ山本

お正月休み、ということで
同級生の友達がお店へ遊びに来てくれました。
エリちゃんとみぃちゃんは高校の同級生で演劇部のOB仲間。
二人とも主婦で、もう高校生になろうという子どももいます。
ひょえええ。

中学の同窓会でも感じたことなのだけれど、
女の子、というのは中学・高校くらいで
ほぼ成長しきっている、というか、ほぼ完成形なのですね。
だから十数年ぶりに会っても、「えっ、誰?」というほど
ものすごく変化していることはあまりない。
まあ多少崩れてきている、というのは
お互いに認めざるを得ないにしても。

でも、男の子となると、
びっくりするほどの変化を遂げている場合が
なきにしもあらず、なのですね、これがまた。
たとえば、いつも目線の下にいた小さな男の子が
見上げるような大男になっている。
たとえば、ガリガリでひょろひょろのもやしっ子が
恰幅の良いお父さんになっている。
ちなみにうちの中学は「男子は坊主頭」という規則だったのですが、
髪の毛があるのとないのとでは、それだけで随分印象が違う。
しかし中には、中学時代はもちろん坊主頭なのだけれど、
時を経ても、いや、時を経たからこそ、
再び「ほぼ坊主頭」に近い状態に戻っている人もいます。
「薄い」といっては失礼だし、「微毛」というのも哀れを誘う、
そんな坊主頭・リターンズの1人に声をかけられました。

「おお、久しぶり。きれいになったなー」
誉められればこちらも悪い気はしない。
こちらからも何かお褒めの言葉を、と思う私。
「またまたぁ。○○くんは、えーと、あんまり変わらないよね」
すると彼は、ちょっとブゼンとして言いました。
「おまえは俺のフサフサ時代を知らないからそう言うんだぞ。
すいてもらわなきゃいけないくらい、ぼーぼーに生えてたんだからな!」
す、スルドイ。言葉の裏を読まれたか。
フサフサ時代に会いたかったね、とは言わぬが花。

さて、それはさておき。
高校の同級生、エリちゃんとみぃちゃん。
車だから、とお酒は飲めなかったのですが、
ノンアルコールカクテルを飲みながら話が弾みます。
他の同級生の近況を伝えあったり、OB会の企画をたてたり、
もちろん懐かしい思い出話にも花が咲きます。
記憶というのは面白いもので、
3人とも同じ高校に通い、同じ演劇部に所属し、
同じクラスになったことだってあるというのに、
それぞれが少しずつ違う記憶のピースを持っています。
あれ、それは知らなかったな、とか
あれ、そんなことあったっけ?、などということも結構多く
記憶のジグソーパズルに次々とピースがはめられていく。

ついこの前のことみたいな気がするのに、
私たちの子どもがもう高校生になるなんてねぇ、と
ため息まじりに語り合うエリちゃんとみぃちゃん。
エリちゃんの娘さんは一ヶ月ほど
アメリカにホームステイをしていたそうなのですが、
エリちゃんの家にもよく外国の子ども達がホームステイに来るらしい。
私の友達も外国からの留学生を預かっているので、
「大変だけど、楽しそうだよね」と私が訊くと、
「いやぁ、それが本当に大変で。
この間はイタリアの女の子が来ていたんだけどね」
と、彼女は話し始めました。

「彼女の頭の中では、日本は東京なんだって。
だから東京に行きたいって言うんだけど、私も詳しくないし・・・」
「うんうん。どこに連れて行けばいいかわかんないよねぇ。
ディズニーランドとか?」
と相槌を打つみぃちゃん。いや、ディズニーランドは千葉だし。
「秋葉原とかじゃないかなぁ」
うちの旦那さまが言うと、エリちゃんは
「ううん、それがね、どうしても行きたいところがあるっていうの」
と言い、それから首を傾げて考え始めました。

「山本譲二・・・だったっけ」
「山本譲治?演歌のぉ?」
イマドキのイタリア娘は演歌にご執心なのか。まさかなぁ。
「違う、山本譲治じゃない」
「それじゃ、香田晋?」と、みぃちゃん。
「そうじゃなくて、えーとね、山本・・・」
「演歌の人?」
「違う違う。日本人で、イタリアで超有名な、」
「えー。イタリアで有名な演歌歌手なんているの?」
みぃちゃん、そろそろ演歌から離れた方がいいと思う。
えーと、えーと、と思い出そうとしているエリちゃん。
「山本・・・デザインの。寛斎じゃなくて」
「おお!」
そこでハタを膝を打つ私。「ヨウジ・ヤマモトか」。
「そう!それぇ~!!」
パッと顔を上げたエリちゃんのおでこに
「スッキリ」という文字が見えるかのよう。

「ヨウジ・ヤマモトとジョージ山本じゃ随分違うね」
と、笑う私。「えー、なにそれ?」と首を傾げているみぃちゃんに、
「ワイズの。ほれ、ブランドの」と説明すると、
「うわー、それじゃ香田晋とも大違い~」と笑いだした。
うん、それは相当違うね。

ブランドとかデザイナーとかの名前には相当疎くなっている昨今。
そして、映画のタイトルや俳優の名前を思い出すのに
ものすごく遠回りをしなくてはいけなくなった昨今。
ヨウジ・ヤマモトが出てきただけでも自分を誉めてやりたい、と
元・女子高生は思うのでありました。



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by onlymoonshine | 2007-01-04 17:59 | half moon

きっとさぁやに怒られる物語

つやつやと光沢を放つデスクを爪で弾きながら、
さぁやはハイバックのプレジデントチェアをくるりと回す。
耳に押し当てた受話器から五回目のコール音が響く。
コン、コン。
さぁやの爪がもう二度、デスクを叩いた時、
カチャリ、と音がしてやっと電話が通じた。
「はい、パブ・軍手ハウスです」
いらだちを含んだため息を大きく吐き出して、
さぁやの冷たい声が響く。
「はい、じゃないでしょう。電話に出る時は」
「あっ、すみません。お疲れさんです、社長」
「何度言えばわかるの。意識が足りないのよ」
チェアを回し、さぁやはデスクに向き直る。
デスクの上にはここひと月の売上げ帳簿が広げられている。
「どうなってるの、キープの数は」
「は、はあ」
電話の向こうで、声が小さくなる。
「年度末の工事が済んで以来、ちょっと伸び悩んでいて」
「それで手をこまねいて待っている、というわけ?
営業努力が足りないわね。現場へは行ったの?」
「現場、ですか?」
「自ら現場へ出て、働きながらお客さまを拡大するの。
チャンスは自分でつかむものよ」
「はっ、はい!わかりましたっ」
受話器を戻しながら、さぁやは小さく首を振る。
相変わらずだ。何も変わってはいない。
軍手ハウスが、まだピックハウスという名前だった頃から、
この男は自らチャンスをつかもうという貪欲さに欠けている。
でも、とさぁやはチェアに身を沈めながら、ふと考えた。
私の今は、この男がチャンスをみすみす見逃したおかげで
あるようなもの。少しは感謝しなくちゃいけないのかもね。
さぁやの脳裏に、ある冬の夜の出来事が甦る。
店舗の移転を迫られ、悩んでいた頃。
そう、あれは2006年。もうすぐクリスマスという夜だった。

照明を少し落とした店内には、クリスマスツリーのライトが
点滅している。
「そうかぁ、これから大変だね」
ピックハウスのママ、Annieの言葉にさぁやは頷いた。
「お店の場所は決まりそうなんですけど、お店の名前も
替えなくちゃいけないし・・・」
この年末の忙しい時期に、さぁやの店「Link」は移転を
迫られていた。まだ、店を始めて一年もたってはいない。
良いお客さまとスタッフにも恵まれ、経営も順調だというのに。
なんとか急いで新店舗での営業を再開しなくては。
そんな気ぜわしい間を縫って、さぁやはピックハウスに顔を
出していた。
「あれ?さぁやさん、軍手ですか?」
バイトのみのりんが声をかけてきた。・・・軍手?
彼女はカウンターの上に置いたさぁやの白い手袋を見ている。
軍手ですって。失礼な。うちのお店のまりもたんからもらった
クリスマスプレゼントの手袋を、軍手扱いするなんて。
「ち、ちがいますよぅ。ほら、可愛いお花だって付いてるし」
「あはは、マスターとお揃いかと思った。職人の店で買ったんでしょ」
Annieが笑い声をあげる。ピックハウスのマスターは手荒れ防止に
軍手を愛用しているのだ。
「そうだ、新しいお店の名前『現場パブ・ワーク』にしたら?」
「いいねいいね、『職人パブ・現場』とか」
面白がってあれこれ言い始めるマスターとAnnie。
「そんなぁ。だったらピックハウスも軍手ハウスですよ」
言い返したさぁやの脳裏にピン、と閃くものがあった。
あれ?いいかもしれない。いけるかもしれない。
マスターとAnnieの表情を窺う。暢気に笑っている二人。
この人たちにとって、これはただの冗談なのだ。
こんなナイスなアイデアなのに。
「じゃあさ、さぁやはワークス・グループの社長になって、
その傘下に『職人スナック・ワーク』、『パブ・軍手ハウス』、
『出稼ぎミュージックハウス・現場&現場』が入るっていうのは?」
「みんな軍手をキープするんだよね」
「こちら、十年物の軍手でございます、とかね」
ああ、アイデアの垂れ流し。
いいの?もらっちゃうよ。このアイデア、そっくり使っちゃうよ。
さぁやは少し心にとがめるものを感じている自分を叱咤する。
何をためらっているの、さぁや。
チャンスはつかもうとする者にしか与えられないのよ。
そう、運命の女神は私に微笑んだの。
はやる心をひた隠しながら、さぁやはとっておきの笑顔を浮かべた。
「ひどーい。そんなの無理に決まってるじゃないですかあ~」

♪ぞうさん ぞうさん オラはにんきものぉ~

廊下から聞こえてくる歌声で、さぁやは現実に戻った。
妹のエリカだ。もう「クレヨンしんちゃん」は歌うなと言ったのに。
イメージダウンになるからやめなさい、と言い聞かせたにも関わらず
エリカはいつもこの歌を口ずさむ。
そういえば軍手ハウスがまだピックハウスだった頃、マスターの薦めで
「クレヨンしんちゃんとホイットニー・ヒューストンのデュエット」を
エリカが歌ったテープが、まだあの店には残っているはずだ。
流出でもしたら大変なことになる。早く回収しなくては。
コツ、コツ、コツ。
さぁやは思慮を巡らせながらデスクを爪で弾く。
すんなりと渡すだろうか、あのマスター。
いいわ、ゴネたりしたらノルマを増やすと言えばいい。

♪オラはすごいぞ 天才的だぞ 将来楽しみだぁ~

やめなさい、と言っているのにエリカったら。
お姉ちゃん、そろそろ怒っちゃうぞ。
さぁやは廊下へ向かって声を張り上げた。
「エリカ!そんな歌じゃなくて、新曲の練習をしなさい!」
「あぁ~い、とぅいまてぇ~ん!」
それもやめろと言ったのに。

♪1、2、現場 2、2、現場
歌いながらエリカの声が遠ざかる。
東証一部上場企業にのし上がったワークス・グループの若き女社長
さぁやと、妹エリカは『ワークシスターズ』としてこの春デビューを飾った。
発売を控えた第二弾は郷ひろみの名曲のリメイク、『現場サンバ』だ。
♪現場、現場、現場サンバぁ~
かすかに聞こえるエリカの声に合わせてハミングしながら、
再びさぁやは受話器を取る。
「はい、出稼ぎミュージックハウス・現場&現場です」
「はい、じゃないでしょう、電話に出るときは。
今夜の現場ライブの曲目は何?・・・なんですって、吉田拓郎?
岡林信康にしなさいって言ったでしょう。オープニングはもちろん
『山谷ブルース』よ」
この後は、『パブ・軍手ハウス』から『レストラン・飯場』へ左遷した
Annieにも電話して活を入れなければならない。
ワークスグループ女社長・さぁやの一日は忙しい。


(この物語はフィクションです)

新店舗での営業再開に向けて、がんばれ!さぁや!!

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by onlymoonshine | 2006-12-29 20:18 | half moon

ごはん三杯はいけます

深夜の焼き肉パーティーをしました。
9時スタート、のはずが、
皆さん色々とお忙しくて、
11時頃にジュウジュウとお肉を焼き始めました。

わぃわぃ、飲んで食べて、
さすがに寝るだろうと思っていた子ども達も
ハイテンションを保ち続け、
みんなを送り出したのが午前3時を回った頃。

「もう寝る。もう無理」
という旦那さまを寝かしつけ、
そこから私は全部屋をファブリーズ行脚したのですが。

朝、目覚めると我が家の空気は
香ばしいままでした。
いける。この空気なら、ごはん三杯はいける。

そう思いつつも、またファブリーズに手を伸ばす私であった。

主婦A「え?昨日焼き肉だったの?」
主婦B「全然臭わなかったわね~」
主婦C(「OK!」と、小さくガッツポーズ)

CMほど焼き肉の残り香は甘くないと思う。




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by onlymoonshine | 2006-12-15 11:26 | half moon

今週のデリシャス

お風呂の掃除をしようと思ったら
「カビ取りハイターストロング」の容器に
カビが生えていた。

カビ取りハイターなんだから。
さらに、ストロングなんだから。
まず自分の身を守れよ、と
つっこんであげた。




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by onlymoonshine | 2006-12-09 14:38 | half moon

私だけ・・・?

私だけでしょうか。

「火垂るの墓」(ドラマ版)のセッちゃんの演技に
エマニエル坊やがかぶってしまった。


だって、大人みたいな顔すんだもん・・・。


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by onlymoonshine | 2006-12-02 12:04 | half moon

当たるも八卦、当たらぬも八卦

相も変わらずDVDまとめ借りにいそしんでいます。
私は急にバタバタ仕事や用事に追われ出すので、
返却日までに見きれなくて
ダッシュ見(?)することも多いのですが。

そして、相も変わらず二人がそれぞれ選ぶ作品は
はっきり好みが分かれているわけで、
最近レンタルした物を挙げてみると
結構面白いものがあります。

まずは旦那さまチョイス作品。

○シャンハイ・ナイト(ジャッキー・チェン主演)
○シャンハイ・ヌーン(  〃  )
○アイ・スパイ(エディ・マーフィー&オーウェン・ウィルソン
                       ↑上記二作にも出演)
○ザ・フォリナー撃鉄(スティーブン・セガール主演)
○パーフェクト・ストーム(なんかものすごい大波)
○ジュマンジ (なんかものすごい動物奇想天外)
○バトルロワイヤル1.2(旦那さまは藤原くんファン)
○バイオ・ハザード1.2 (「ジョボヴィッチ、ジョン・ボンジョビ」と
                 三回続けて言ってみましょう)
○バタリアン4(出ましたゾンビ)

今回はゾンビがあまり登場してませんが、
(まぁ、バイオ・ハザードもゾンビみたいなものよね)
やはりアクション&スリルとホラー系です。
前に何度か観たお気に入りをまたレンタルする、というのも
旦那さまによくある傾向です。

続いて、Annie'sチョイス。

○ザッツ・エンターテイメント1.2.3(MGMミュージカル好き)
○Always 三丁目の夕陽(ほのぼの、しみじみ)
○パッチギ!(♪イムジン川 水清く~)
○コーラスライン(♪One! テッテレッテ・テテッ・・・歌詞知らない)
○ザ・ローズ(♪Some say love it is a river・・・)
○笑の大学(三谷さん好きっす。顔はダサイお坊っちゃまみたいだけど。
      たぶん小学校の頃、白いタイツをはいてたんじゃないかしら)
○博士の愛した数式(読んでから観た。小川洋子さん、好きデス)
○サイダーハウス・ルール(読んでから観た。アーヴィング)
○命 (読んでから観た。エスミはやっぱショムニだと思う)
○Bye Bye Blackbird (制作:演劇ぶっく ・・・後述)
○火垂るの墓 (TVドラマの方。見逃したので)
○タイガー&ドラゴン1~5(ほとんど見逃したので)

私の場合は、ダンス&音楽系、原作から入った系、
前にも観たけどまた観たかった系、
評判を聞いて観てみようと思った系。(どんな分類だ)
私がチョイスしたもので、旦那さまを観る気にさせたのは
「タイガー&ドラゴン」と「火垂るの墓」くらいですね。
「パッチギ!」は、誘って一緒に観たけど、
『おっ』と言ったのは大友康平が出たとこだけだった・・・。

まぁ、そんな私達なのですが、
たまに二人ともタイトルやケースに書かれた解説に惹かれて
衝動的に借りてしまうDVDがあり、
そういうのに限って「ハズした」と思うことが結構あります。
旦那さまは上記したなかで、スティーブン・セガールのと
「バタリアン4」は面白くなかった、と言ってましたが、
私は「命」が、原作も映画も『・・・う~ん』って感じ。
ドキュメントに基づいているのでね、
現実の方がもっと壮絶だったろうし、
切実だったろうな、とは思うんだけれど、
作品として感動したか、というと『・・・う~ん』でした。

そして、もうひとつ。
「Bye Bye Blackbird」は、ねえ。
短編が二作、なんですけど、
タイトルになってる「Bye Bye Blackbird」の方が、ねえ。
見終わった後、『・・・え~』って声が出てしまったほど、
私にとってはつまらなかったのです。

解説には、こう書いてあったんですね。

「映画『天使の卵』の公開を今秋に控える冨樫森監督の感動作。
オーディションで一目惚れし舞台公演で主役に抜擢しながら、
突然失踪してしまった女性の面影を求めて捜査する
演出家の狂気を描いた『Bye Bye Blackbird』・・・」
こちらを参照)

「天使の卵」は原作を読んでるから興味があるし、
そして何より、劇団出身者としては
この解説に興味をひかれたわけですよ。
だって、「オーディションで一目惚れ」だよ!
そして「突然失踪」ですよ!
なに?なに?何があったの?とワクワクするじゃないですか。

ところがね。
まず、オーディションの場面で、
仏頂面の主演女優を見た瞬間に、まず『え~』。
か、かわいくない。そして、なんつうガタイの良さ。
意志の強そうな、きつい目はしているけど・・・
でも、でも一目惚れ、なんだよねぇ?

いや、マテ。
ルックスに一目惚れ、とは書いてないぞ。
演出家が一目惚れ、するんだものな。
きっと、演技だ。演技に惚れるんだ、と思い直して
さらに『え~』。・・・ワカリマセン。私にはワカリマセン。

おまけに、(なぜか)彼女に一目惚れしてしまい、
お金を持ち逃げしていなくなった彼女を
芝居の演出ほっぽりだして探し回る
演出家からも、全然狂気を感じない。
これじゃただの人の良い、気の弱そうな青年ジャナイカ。

こうなると、もういちいちツッコミを入れたくなりますね。

最初のオーディションで、
生意気そうな態度をとったため、
「女優なら、ここで脱いでみろよ」と言われた彼女は
洋服を脱ぎだして(ブラまでね)止められる、という
場面があります。だけどさ、
実際のベッドシーン(といっても、映画の中ですが)でも、
ブラまでね、だったので
思わず『脱がないのかよ~!』とツッコむ私。
女優なら脱いでみろよ、ってセリフがあるのに
女優なのに脱がないんじゃん。
女優なら脱いでみろよ、ってセリフじたい、
まあ、実は変だし、いかにも言いそうな、
ステレオタイプなセリフなんだけれども、
そして、別に見せて頂きたいわけじゃないんだけれども、
これじゃなんだか大昔の少女漫画のベッドシーンだ。
こんな中途半端なシーンなら、バッサリない方がいい。
そういうことがありました、ってことにしちゃえばいい。

ラストでも、いや、これから観る!という方のために
結末は書きませんが、
そりゃ無理でしょ、とツッコみましたねぇ。
・・・あのガタイを・・・あの演出家が・・・あんな所へ・・・
無理だ。絶対無理だと思うわ!

あぁ、なんかもう怒りにまかせて書いてしまいましたが、
これって劇団出身者だから、なんか腹が立つのかなぁ。
私は一応、人の創ったものに対しては
謙虚な態度を示そうと思う方です。
この良さをわからないのは、こっちに問題があるのかも。
もう一回観たらわかるんじゃないかしら、とかね。
でも、そんなパワーも今回は出なかったの。
なんだかなぁ、もう・・・ハズしちゃったわ。

ナドと言いつつ。
たまに「わぁ、これアタリ!」っていうのがあるから、
衝動レンタルはやめられないんですけどね。


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by onlymoonshine | 2006-11-27 04:06 | half moon

がんばったのだ

「Annie's Dining」からのお知らせです。

読書日記「Afternoon Library」に、
なんとっ!7月の読書日記が!!

早いじゃん。やればできるじゃん。
いいぞ、この調子!

なんか長くなっちゃうのはあらすじを書くからですね。
でも、あらすじ書かないと、わかんないしなぁ。
なんとかもう少し短く書けないものかと思案中。

お暇な時間のある方、読んでみてくださいね。


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by onlymoonshine | 2006-11-23 08:00 | half moon