カテゴリ:crescent moon( 22 )

時と場所を選ばなければいけません

昨日は朝からレッスンがあり、
飛んで帰って父の元へ急ぎ、
夜は店でお客さまのお誕生会、という
結構ハードな一日だった。

お誕生会は大いに盛り上がって、
閉店時間が近づいても
なかなかみんな腰を上げない。
睡眠不足の私は、だんだん頭が朦朧としてきたので、
厨房に引っこんで仮眠をとることに。

そして。

「アニー、うちに帰るよ。起きて」

旦那さまに起こされた私の第一声。

「パスタを放っとけないから、待って」

厨房で寝たので、料理をしてる夢でも見たのかもしれない。
「パスタ?」と、きょとんとして
ガスレンジの方へと目をやる旦那さま。
まだまだ寝ぼけている私。

「パスタ放っとくと、くっついちゃうでしょう」

茹で上げて、オイルをまぶす前だったらしい。
寝ぼける私の扱いには慣れている旦那さまなのだけれど、
場所が厨房だけに、本当に私が何か料理をしていたのか、と
思ってしまったのかもしれない。
きょろきょろしながら「なに?なにしてたの?」と
言っているその声に微妙な緊張感。
そうだよ。
料理中に寝るなんてやばいよ。
戸締まり用心、火の用心!

自分の発した言葉の意味を考えているうちに
目のさめてきた私が、きょろきょろしてる旦那さまに訊ねる。

「なにさがしてるの?」
「パスタだよ」
「・・・パスタ?」
「アニーがパスタって言ったんだよ」
「あっ、はい。えーと、それは夢です」
「・・・夢の話ね」
「(にっこりして)うん!」

ぁにを元気に返事している。
ホッとして、ついでにがっくりして、
肩を落とす旦那さまを後目に、
シャカシャカと残った洗い物を片づけ始める私。
寝ぼけ状態から脱した私は妙にテンションが高いのだ。

今朝起きて、寝ぼけるにも場所を選ばなくちゃなぁ、と
反省した私は、「びっくりさせてごめんね」という気持ちを込めて、
釣りへ出かける旦那さまにお小遣いを千円さしあげた。
あまり謝罪の気持ちは伝わらなかったかもしれない。



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by onlymoonshine | 2006-12-04 13:47 | crescent moon

つつましき娯楽

11月最後の夜。
忘年会へ出かける私を車で送ってくれた旦那さまが
「え~・・・なんでスカートなの?」
と、ちょっとぶうぶう言いました。
なんで、って。
それはネット通販で買ったブーツ(格安)が届いたからよ。
せっかくだからスカート履きたいじゃん。
「忘年会って、お座敷?それとも椅子席?」

なぜ旦那さまがこんなことにこだわるのか、というと。
彼は、私がスカートを履くのがお好きではない。
座り方や立ち居振る舞いが「なってない」から、
スカートだと無防備に見えてしまうのが嫌なのだそうです。
誰も私の足やパンツなんか見てないよ!、と言うのですが、
一分の隙もないような振る舞いが出来なきゃだめだ、と
おっしゃいます。
もしくは、自分と一緒の時ならスカートでもいい、そうですが、
それは「ほら、足!」って注意することができるから。
おかげで、彼と付き合うようになってからこれまで、
私は一年のほとんどをジーンズで過ごしています。

こう書いてしまうと、
ヤキモチを焼かれながらも熱愛されてるんです、アタシ、
みたいなおのろけブログのようですが、
旦那さまがぶうぶう言うのは私に限ったことではありません。
たとえば飲みに行ったお店の女の子が立ったり座ったりする時、
ミニスカートからチラリと何かが見えようものなら、
彼は小さくため息まじりに「・・・おぃ~」とつぶやきます。
下を向いた時に、強調した胸元から谷間が覗けば、
「・・・おぃおぃ」と情けなさそうにつぶやいて首を振ります。
ローライズの腰から覗くパンツももちろん不可。
見せパン、ってなんだ!ケシカラン!という
古式ゆかしい男子である旦那さまにとって、
「見せてしまう」もしくは「見えてしまう」女子はすべからく
お説教の対象なのです。

でも、せっかくブーツ(格安)が届いたのだし、
ミニスカートじゃなくて膝丈だから安心だし、
忘年会の会場は椅子席だし、
まあ、なんなら上着をずっと膝にかけておくから、という
説得が功を奏し、久々のスカートでお出かけとなったわけですが、
それでもまだチクリ、と
「俺と出かける時は、スカート履かないのにね」
などとおっしゃるので、
「それじゃ、忘年会がハネたら、一緒にどこかへお出かけしよう」
と提案してみました。

時刻は深夜をまわり、迎えに来てくれた車に乗り込んで、
「さあ、どこへ行く?」となったわけですが・・・問題点が二つ。
①久々に顔を出したい店はあるけど、もう店終いの時間
②他にもお店はあるけど、お財布の中身が心許ない

24h営業のネットカフェにでも行こうか、と提案してはみたのですが、
二人並んでネットするなら家でも同じだし、
それじゃDVDでも借りて家で見ようか、ということになると、
スカート履いてお出かけの意味がない。
つつましくとも楽しく遊びたい、という私達の条件を満たす店が
どこかにないものか・・・と思案する二人。
すると・・・あった。あったじゃないですか。

「そうだ。うちの店へ行けばいいんだ~」

実は最近、うちの店ではカラオケで点数を競うのが
ちょっとしたブームになっております。
エー、今頃ぉ?と思われる方も多いでしょうが、
いつもはうちのお店、点数を出す設定にはしてません。
あくまで点数は機械の基準で出されるので、
私達がすごくうまい!と思う人や、
とってもじーんと胸打たれる歌が、
必ずしも高得点を取るわけじゃないっていうのが
腹立たしいというか、まあ、
「けっ!機械にナニがわかる」的な思いがあり、
お客さまに頼まれない限り、点数設定はしないことに
していたのです。

ところが逆に、
「機械がどんな基準で高得点を出すのか」と
考え始めたら・・・なんだか面白くなってきたんですねぇ。
歌のよしあし、というより、これはゲーム感覚。
機械のルールに則って、点稼ぎに執念を燃やすのです。

高得点を出すのには、
機械に気に入られる(?)歌い方、たとえば
①あまり感情をこめずに“棒読み”で歌う
②ビブラートをきかせない
③声を張り上げない
④カラオケの裏に流れる主旋律メロディに沿って正確に歌う
などの技術を習得すること、そして
高得点を出しやすい曲選びが肝心。

常にすごく高い点の出る曲として、
うちの店では封印された歌に「もののけ姫」があります。
ほんのワンフレーズ歌って、曲をストップさせるだけで
いとも簡単に900点以上が出せてしまう
まさにバケモノ的な曲です。

今夜は店で歌いまくって、
「もののけ姫」のような高得点を出しやすい曲を
探してみよう、ということになり、イソイソとおつまみを買って
店へと向かう私達。
二人っきりもなんだから、誰か誘ってみよう、と
ご近所の女の子にメールをしたら、
「わーい、ちょうど明日はお休みなんです」
と、部屋着のジャージ姿でやってきました。

三人で、この曲ならどうだ、あの曲ならどうだ、と
じゃんじゃんカラオケを入れて歌いまくった一夜。
「キイが高く、ゆっくりしたテンポ」の曲は高得点、
ということには察しがついていましたが、
音の高低差があまりない曲も
結構高い点をとれることがわかったりして、
お金のかからないつつましい娯楽の中にも
なかなかの収穫があったのでした。

でも・・・今、よくよく考えてみると・・・1つの疑問が。
自分の店でカラオケの練習するだけなら、ハタシテ
「スカート履いてお出かけ」の意味はあったのでしょうか・・・。


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by onlymoonshine | 2006-12-02 11:25 | crescent moon

北の国へ嫁ぐ従姉妹へ

年の離れた従姉妹が金沢へお嫁に行きます。
金沢には、私は一度しか行ったことがないけれど、
お酒の美味しいところでした。・・・ってそれだけかぃ!

いや、あのね。
一緒に行った人、っていうか、その当時の恋人がね、
金沢の街を巡るより小松空港で飛行機の写真を撮りたがってね。
小松空港って、自衛隊の小松航空基地があるんですよね。

こう言っちゃ失礼なんですけど
小松空港って特に見るべきものもないし、
飛行機にも全然興味は持てない私なので、
「私は金沢観光するから、写真撮ってくれば?」と言ったら
ガゼン不機嫌になりあそばしましてね、
「せっかく一緒に来たんだから、俺も観光する」
とは言ってくれたんですけど、
武家屋敷や兼六園を巡っている間中、
むっつりしてるし、足も止めないし、
おぉい、観光って競歩でするもんなの?というくらい
早足でずんずんずんずん行っちゃうので、
音をあげた私が「もう、いいよ。小松、行く?」と聞いたら、
パッと目を輝かせて「えっ、いいの?行こう、行こう」って
浮かれ始めましてね、
それから彼は半日飛行機撮影。私は車の中でずーっと読書。

「ああ、楽しかった」という彼を、
帰りに寄った東尋坊の上からちょっと押そうか、と思いましたが、
いきなり火サスの主人公になるのもいやなので、
日本海へ終わりかけた恋を投げ捨てて帰ってきました。

だってさぁ。
立派なカメラ持っていったのに、
写ってるのは飛行機の写真ばっかりなんだよ。なんじゃ、そりゃ。
哀しみ本線日本海。恋の終わりは日本海。

こらこら。
嫁ぐ従姉妹に、ふさわしくない話の流れだわ。
まあ、従姉妹はこのブログの存在すら知らないのですけれど。

そうね、嫁ぐ日にふさわしく、
彼女が生まれたときのお話を。

従姉妹が生まれたのは、私が大学1年生のとき。
そして、くしくも彼女の誕生日は、当時の恋人と同じ日。
あ、ヒコーキ写真男ではないです。
高校の頃から片想いをしていた憧れの先輩で、
白いフォルクス・ワーゲンに乗ってたから
ワーゲン男としておこう。(いいのか、それで)

静岡で従姉妹が生まれ、上にもまだ小さな兄弟がいるので、
私は2週間くらいの予定でおばちゃまの家へ家事手伝いに
行くことになりました。
たかが2週間。されど2週間。
当時は携帯電話もポケベルも出回ってませんから、
連絡を取ることもままならない2週間は長い。

慣れない手つきで料理をしたり、おむつを洗ったり、
やんちゃな従兄弟たちと遊んだりしながらも、
心はいつも「彼は今頃どうしているのでしょう」という
せつない気持ちでいっぱいでした。
その頃おばちゃまとおじちゃまは、従姉妹の命名で
ちょっともめたりしてました。

何日かたった頃、私は大学の用事で、
半日だけこちらへ戻ってこなければならなくなりました。
どんな用事だったのか、忘れてしまったけれど・・・
もしかしたら、先に延ばしても大丈夫な用事だったのかもシレナイ。
「帰ってくれば、少しでも彼に会える」という憶測が
「どうしても戻らなくちゃいけない」コトにさせてしまったのかもシレナイ。
いや、きっと、そうなのでしょう。

おじちゃまは、たぶんそんな私の胸の内を見透かしていて、
それでも私に気をつかってくれて、
「じゃあ、おじちゃんのおつかいも頼むね」
と言って往復の新幹線代をくれました。
おじちゃまのおつかい。
それはヤマサちくわの「半月」を買ってくること。
もちろん、静岡でも買えたのです、きっと。
こちらへ戻る名目を与えてくれようとする、気遣いのおつかい(ウマイ)。

かくして。
舞い戻り、大学の用事をすませ、「半月」も買って、
あとは駅で彼を待つばかり。
彼は名古屋の大学に通っていたので、急いで帰ってきても
私が静岡へ戻る新幹線の時間まで
ほんのちょっぴりしか会うことはできません。
(そこはさすがにおじちゃまも、預かった姪っこの帰宅時間を
厳しく指定していました)

まだかな、まだかな。
刻々と過ぎる時間。
息を切らせて、恋人が走ってくるのをみつけた瞬間、
私はぽろぽろ涙を流していました。
BGMは郷ひろみ「よろしく哀愁」。
♪会えない時間が 愛育てるのさ~ Yes 高須クリニック

あの頃は何がそんなに不安だったんだろうね。

元来無口な人だったので、交わした会話も
「従姉妹の名前は○○ちゃんに決まったよ」とか
「おじちゃんが半月買ってきて、って言ったの」とか
私が一方的に報告する普通の世間話みたいなものでしたが。

駅で立ち話するだけの短い逢瀬はあっという間に終わり、
私は彼に見送られてまた静岡へと戻りました。
ところがです。
それから3日もたたないうちに、
私は40度の高熱を発し(たぶん知恵熱
これでは致し方ない、と家へ送り返されたのです。
ああ、なんて役立たず
ふがいない姪を許して、おじちゃま、おばちゃま。


本格的な遠距離恋愛、という経験のない私には
金沢との遠い距離を超えて結婚することになった
従姉妹の喜びは想像することしかできないけれど。
よかったね。
これからは毎日一緒だね。
毎日一緒は一緒で、いろーんなことがあるけれど
会いたくて、会えなかった頃の気持ちを
ずっと忘れないでいてね。

雪景色の金沢で、従姉妹夫婦が迎えるクリスマスが
あったかくて素敵なものであるように、
役立たずのお姉さんは祈っています。


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by onlymoonshine | 2006-11-20 16:02 | crescent moon

そのようなことがあったので・・・

そのようなこと(↓の日記参照)があって、
翌日も浜松でのお仕事の最中(Sunshine Market参照)に
実はちょっと一時頭がフラ~っとしたりということもあり、
知り合いの看護婦さんに「なんなんでしょ?」と聞いたら、

「とりあえず、ぐっすり寝なさい」

と基本中の基本なことを指摘され、
天狗連会長からも

「自分を大事にするのは、特に女性は難しいでしょうが、
 ならぬ我がままするが我がまま、でお願いします」

と心に優しさがしみるようなメールを頂いたので、
寝よう、とにかく、寝よう、と
今朝未明からお昼にかけて8時間ちかく
たっぷり寝かせて頂きました。

起きたら・・・寝ながらよほど暴れたのでしょうか・・・
ものすごいボンバーヘッドになってました。
うわ~、すごい。
今週のびっくりどっきり頭。
このままミュージカル・アニーに出られそう。

面白いので♪ボンバヘ、ボンバヘ と歌いながら
そのままほかっておきました。
だらしない、って楽ちんですね。
でも、さすがにずっとこのままはやばいか。

お風呂に入って脱ボンバー。
親父さまのところへ行って参ります。
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by onlymoonshine | 2006-11-13 16:38 | crescent moon

DVDタイトルにまた笑う

旦那さまとレンタルショップをハシゴ。
私は怖いからあんまり好きじゃないんだけど、
久々に観たい、と旦那さまが言うので
バトルロワイヤル1と2を探しに行ったのです。

一軒目のお店で。
棚から棚へと巡りながら
「探しにくい並べ方だなぁ~」とブツブツ言い、
「在庫とか、棚を調べられる検索システム導入すればいいのに」
などと言っていたら、
やはり同じように棚をずーっと巡っている女性二人が。
二人とも全体にパステルっぽいジャージにエプロン。
全身で保育士さんですよ、とアピールしています。
先輩らしい方の女性が、「こーんなね、こんな感じの踊りなの」
とやってみせてるところを見ると、
子ども達のためのダンスDVDを探していたのでしょうね。
店員さんに聞いても「ありません」と言われたようで、
彼女たちはお店を出ていきました。

私達もバトロワ1の方が貸し出し中になっていたので、
そのお店を出て二軒目へ。
すると。
そこでも先程の女性二人が・・・棚の間で踊っていました。
祝・再会。

さて、私達はこちらのお店へ入るのが初めて。
こっちはこっちで並べ方が違うので、
再び棚の間をさまよい歩いていると、
旦那さまがボソリとDVDタイトルに突っ込んでいました。

女ねずみ小僧って。小僧ですらない」

うはは。本当だ。
調べてみたら、これパチンコと連動したドラマみたいですね。

女ねずみ小僧 ただいま参上!

女でありながら小僧である、という
この不条理なタイトルのドラマはだいぶ前からあったようです。
1970年代に小川真由美さん主演のドラマシリーズが。
「今でいうバーのマダム」風のセクシー衣裳だったようですね。
そして、宝塚の男役出身・大地真央さんも女ねずみ小僧だったらしい。
こちらは1989年の作品だとか。

どうも時代を超えて時々出没するものらしいけれど、
やっぱり「ねずみ小娘」というわけにはいかないもの
なんでしょうか。
「女狼男」とか「男猫耳娘」とかいうのは
やっぱり変だと思うんですが。
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by onlymoonshine | 2006-11-04 19:51 | crescent moon

畝須

くじらベーコンを頂いたのです。

すると、そのパッケージに謎の言葉が。
「肉・皮・畝須

畝須ってナンダ?何て読むのだ?
お客様たちと悩みました。

私 「畑とかの畝(うね)っていう字ですよねぇ」
くみこさん 「きゅう、って読むのかもしれないよ」
私 「きゅうす、じゃお茶いれちゃえますね」

肉でも皮でもない部位。脂身?
でも、くじらってほとんど脂身っぽいイメージだしな。

んで、答えは、というと。(気長にお読み下さい)



『この街の猫は哲学的な顔をしている、と思う。
白い石造りの家が建ち並ぶ坂道を下りていく間に
出会った数匹の猫は、
それぞれ何かの命題について考え込んでいるようだった。
のんびり日向ぼっこをするような季節ではない。
まだ午前も早い時間だというのに陽ざしはまぶしく、
白い街並みに光を散りばめている。

そうか、と思いついておかしくなった。
猫たちはただ眩しさに目を細めていただけなのかもしれない。
それが、なにか思い詰めたような表情に見えたのだ。

長い下り坂だ。
帰りの道のりを考えるとため息が出てしまうけれど、
海からの風を受けながら下りていくのは心地よい。
麻のワンピースが風に煽られて、足元で音をたてる。
この街に来て、まだ五日目だというのに、
足にはくっきりサンダルのストラップが跡をつけてしまっている。

坂道を下りきって右に曲がると小さな漁港がある。
船から下ろしたばかりの魚や貝でいっぱいの箱が
いくつも積まれている所で、 私は捜しものをみつけた。

「今日は何がお薦めかしら」

しゃがみこんでいる背中に声をかけると、
柔らかい色の髪がぴくりと揺れた。

「あの、僕は、」

慌てたように腰を浮かせながら振り向くと、
彼は私の顔を見て口をとがらせる。

「・・・なんだ。脅かさないでよ、姉さん」

鼻の下に浮いている汗の粒を人差し指でこすりあげる。
背だけはこの一年で随分大きくなったのに、
仕草はまだ子どものままなのがアンバランスでおかしい。

「オレンジを買いに来たの。上まで運んでね」
「ジュースなんて、」

まだ口をとがらせたままで言う。

「わざわざ自分で絞ることないよ。
絞りたてを飲ませてくれる店がある」

言いながら、もうすたすたと歩き始める背中に
笑いながら声をかけた。

「運ぶのが重くて嫌なんでしょ、ウネス」 』



というわけで。
答えは そのまんまウネス
なっがいよ!これだけのために!
でもウネスって、なんか地中海っぽい名前じゃない?
ふぢしろさんから「ウネスでした」とメールを頂いてから、
なぜかウネスという少年のイメージが私の中で一人歩き。

実際の「畝須」について、興味のある方はこちらをどうぞ。
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by onlymoonshine | 2006-08-18 18:47 | crescent moon

おそうめん

暑いなぁ、と思う。
ごはん、ごはん、と言っている旦那さまに
おそうめんでも茹でようかなぁ、と考える。

おそうめんは、夏のたべものだ。
にゅうめんにしたり、
おみおつけに入れたりすることもあるけれど、
おだしを効かせた麺つゆにくぐらせて、
冷たいのどごしを楽しむのが一番だと思う。

日持ちするし、持ち運びも楽なせいか、
夏にはおそうめんの箱がいくつか届けられて
実家の台所に積んであった。
私はちょっと塩分のきいた長めのおそうめんが好きだ。

大きな鍋にぐらぐらお湯を煮立たせて、
さあっ、とおそうめんを広げながら入れる。
吹きこぼれる寸前に入れる少量の水を
「びっくり水」というのも面白い。
茹で上がったおそうめんは、冷水にとって
もむようにして洗う。
それから母は、おそうめんをひと口分くらいにまとめながら
竹のざるに並べていき、上にいくつか氷をのせた。
これは見た目もきれいだし、取りやすい。

氷水のなかにおそうめんを入れてだすところもある。
でも、そうすると麺つゆが
おそうめんの水気で薄まってしまって美味しくない。
もっと閉口するのは、氷水におそうめんをいれた鉢へ、
缶詰のチェリーやみかんを飾ってある場合。
昔は食堂などで、こうして出すところが多かった。

なぜに、チェリー。
なぜに、みかん。
こういう“飾り”を喜ぶ子どももいたかもしれないけれど、
私はそういう子どもではなかった。
不可解だ、と思っていた。
この毒々しい色のくだものを、
どうやっておそうめんと一緒に食べるのか。
麺つゆに付けて食べるのか。・・・まさか。
そうではなくて、デザートなのだとしたら、
なぜメインの上にのっかってるんだろうか。
チェリーをどけた下のおそうめんは、
着色料のピンクで丸く染まっていた。

冷やし中華にも、こうしたくだものをのせている店がある。
いらないのに、と思う。
給食のポテトサラダには、薄切りのりんごが入っていた。
レーズンが入っている場合もあった。
りんごもレーズンも好きなのだけれど、
ポテトサラダには入れないでほしい、と切に願った。

栄養のバランスをとるためなら、
別に添えれば良いし、
彩りのためならば、何かもっとほかの、
味の邪魔をしないものがあるはずだ。
おそうめんなら、おろし生姜やごま、
刻んだ青じそに茗荷など、
母が添えてくれる薬味は彩りも涼しげで、
香りや味わいはおそうめんをぐっと引き立てた。

缶詰チェリーやみかんの
人工的な色合いはおそうめんに不似合いだ、と
思っていた私だけれど、それでも
「これだけは別」
と思っていたものがある。
それは、おそうめんのなかに、ほんの幾本か入っている
ピンクと水色の色つきおそうめん。
入っていると嬉しくて、弟たちと取り合った。

暑いなぁ。おそうめんでも茹でようかなぁ。と、思う。
でも、冷たく涼しいおそうめんを、
茹でて、水にさらして、もみ洗いする作業の間は、
実はとても暑い。
ただでさえ暑い日にそんなことしてられない、と断念する。
夏に入ってから、もう何度か
こんなことを繰り返している。
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by onlymoonshine | 2006-08-07 14:24 | crescent moon

バゲット

仕事の帰りに、駅のパン屋さんで
お店用のパンを買った。
背の高い籠から頭をだしているこんがりした数本から
いちばん手前のを取ってトレイに載せる。

バゲットをトレイに載せる、というのは
結構バランスをとりにくいものだ。
バゲットを入れるためか、
もしくはたくさんのパンを買うひとのために、
少し深めの取り籠が用意されているパン屋さんもある。
でも、私の知っているほとんどのお店には
当たり前のようにトレイしか用意されていないので、
手でじかに持ったままレジへ向かうこともある。

でも、今日のパンは熱かったのだ。
ほかほか、というよりも、あつあつ。
一瞬、手で触れて「あつ、」と思った。
駅のパン屋さんはいつも混み合っていて、
レジにもひとが並んでいる。
じかに持ったまま順番を待つのは無理、と思うくらい
それは熱かった。

バランスを崩さないようにゆっくりと、
トレイに載せたパンを運んでレジに並ぶ。
レジは二台あって、それぞれにひとりずつの店員さんが
計算をし、パンを袋に入れていく。
半透明のビニール袋にひとつひとつのパンを入れて
テープで留め、
それをさらに大きな袋へまとめて入れる作業を、
店員さんはとても手早くこなしていく。
前に立っているお客の顔を見る暇も、ほとんどない。

でも、順番が来て、私のトレイを受け取ると
店員さんは、ぱっと私の顔を見た。

・・・ああ、店員さんも今、「あつ、」って思ったな。

と、わかった。
店員さんは、顔をぱっと見たことの言い訳をするみたいに、

「よかったですね。焼きたてで」

と微笑んだ。
どう返事をすべきか、ちょっと迷った。
今、ここで、ぱりっとした皮のバゲットをちぎって
食べられるなら、「焼きたて」はすごくうれしい。
でも、家まで持ち帰り、さらに店へ持っていき、
お客さんがバゲットや、バゲットを添えてだすチーズを
注文する頃には、このパンはもう焼きたてじゃないのだ。

そう思うとちょっと哀しくなった。

けれど、そんな話を長々としているわけにはいかない。
私は一瞬躊躇したあと、

「そうですね。冬ならもっとよかったんですけど」

と言った。
微笑んだつもりだったけれど、
困った顔になっていたかもしれない。
でも、冬ならば、
こうばしい匂いのするパンの熱さを抱えて帰る、
その時間を楽しむことができるのに。
焼きたて、が「よかった」ことになるのに、と思った。

そのくらいパンは熱くて、
今日はとても暑い一日だった。
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by onlymoonshine | 2006-08-06 15:20 | crescent moon

5月の読書感想文

やっと、UPしました。

Annie's Dining」読書感想文のページ、
“Afternoon Library”に新しい感想文がお目見え。
それも、今頃「5月」の感想文ですよ。

い・ま・ご・ろ・5月

おっそいよ!
んとにもう、ぁにをやってるんでしょうね。
なんじゃかんじゃと忙しかったのは事実。
でも、もう8月なんだぜぃ。

おまけに時間がたってしまうと、
細かいデティールがあやふやになってきます。
ひとさまの書かれた本について、
感想を書くわけですから適当なコトは書けません。
なので、また読み返すわけですが、
何度読んでも良い本は良い。
最初に読んだ時とは、また違う部分にも心惹かれたりして。

そんなわけなので、5月の読書感想文は長い!です。

3月と比べると、ものすごく長い。
こんなに長い文章、読んでくれる人がいるのでしょうか。
これからは、「読んだら書く」を心がけよう、と思う次第です。

でも、まだ6月と7月の感想文が・・・。
は、早く書かないと、どんどん遅れていっちゃうので、
頑張らなくては。

良かったら“Afternoon Library”、覗いてみてくださいね。
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by onlymoonshine | 2006-08-05 11:44 | crescent moon

TAPS

若きショーン・ペンの出演作、ということでレンタルしてみました。
「TAPS」。
へぇ~、ショーン・ペンってタップダンス踊るのね。

はい。
単純にそう思って借りたのですが、
映画が始まればそこは幼年士官学校・バンカーヒル。

ここで踊るのか?
士官学校に通っていながら踊り始めちゃうのか?

それでもまだ心のドコカでそう思っていた私はおばかさん。
「TAPS」ってね、葬送ラッパのことでしたよぅ。

青いけど、重い。
そんな映画でしたね。
青春は残酷です。

この映画には若きショーン・ペンも、ティモシー・ハットンも、
そしてトム・クルーズも出ているのですが、
いやぁ・・・トム・クルーズ、太ってます。目を疑いました。
まるまるとして、軍服ぱつんぱつん、ですものね。
そのぱつんぱつん・クルーズが、最後の方でおかしくなって銃を乱射。
まさに、トム狂う図。スマン。

旦那さまも「うわ~」と言いながら観てましたが、途中でチラッと映った人が

「あれ?これ、ニコラス・ケイジ?」
「わ、ほんとだ~、ニコラス・ケイジも出てたんだ~」

と、2人で盛り上がるくらいに似ていました。
でも、念のため、と思ってニコラス・ケイジのフィルモ・グラフィー調べたら
載ってないんですよ。この「TAPS」は。

違うのかなぁ・・・でも似てたなぁ・・・。

「シティ・オブ・エンジェル」という、
「ベルリン 天使の詩」のハリウッド版の映画がありましたが、
ニコラス・ケイジは天使の役で出てきますね。

ニコラス天使が女の人(メグ・ライアン)に惚れてしまい、
いつも彼女のそばにつきまとってるんですが、
女の人にはそれが見えない。
女の人が哀しんでいると、カーテンの陰(だったかしら)から
すぅっとニコラス天使が出てきて
後ろから彼女をそっと抱きしめたりする。
もちろん彼女は、それにも気づかないわけですが。

その場面で、映画を一緒に観に行っていた当時の彼が言いましたね。

「見えなくてよかったね。
 ニコラス・ケイジがいきなりカーテンから出てきたら怖いよね」

うぷぷっ。
とてもせつない場面だというのに、
私にはもうどうしてもニコラス・ケイジが天使に見えなくなってしまいました。
もちろん「ベルリン 天使の詩」でも、
天使は今までの「エンジェル」概念をやぶったおじさんでしたが、
ニコラス・ケイジは、なぁ。
犯罪者顔(コラコラ)が部屋にいたら確かに怖い。
でもさ、一応だれもそこにはつっこまない約束で
この映画が成り立つというものでしょうが。

言わない約束、を破ってくれた彼のおかげで
全然映画に入り込めなかった私なのですが。

でも、言いたくなる気持ちはよくわかりました。
毛深い天使はちょっといやです。
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by onlymoonshine | 2006-07-25 20:36 | crescent moon