ケンカ売ってんのかぃ!

美容院へ行くと、最後にメイクを直してくれます。
タオルのっけたり、シャンプーしたりで、
ちょっとメイクが取れてしまうので。
「ついでに眉カットもしましょうか~?」なんて
嬉しいサービスもございます。

母譲りの天然薄眉系な私。加えて、誰に似たのか、
それとも単純に努力が足りないのか
呆れるほど不器用な私。
眉毛のお手入れは大事、とわかっていても、
自分でカットしようとすると、ただでさえ薄い眉毛が悲惨なことに。

眉毛専用のハサミやコームを使うなんて、もってのほか。
きれいなお姉さんは好きですか系のシェーバーを買って
使ってみても、眉なし芳一スレスレ。
眉毛にはお経が書けなかったんだもん、今日の私は芳一♪
などとボケても眉毛は戻らない。
ラフカディオ・ハーンはギリシア生まれのアイルランド人。
1879年 食堂「不景気屋」を経営するも失敗、って
名に恥じない潰れ方してドウスル。(参照:Wikipedia

八雲くんのことはさておき、まあ、そんなわけで
私の眉カットは常に美容院のサービスをアテにしております。
眉のお手入れをしてもらい、アイブロウもしてもらい、
「ちょっと新製品のパウダーファンデを使ってみますね」
という言葉にも、気分良く「お願いします」と応える私。

たぶん購入を勧められるのでしょうが、
いいのよ、至れり尽くせりなんだから、
ファンデの一つくらいは買ったって。

二十歳そこそこ(に、見える)の可愛い見習い美容師さんは、
オススメの超微粒子ファンデーションをパフに取り、
スッ、スッと下からなで上げるようにしてつけてくれる。

「こうして、そっとのせてあげるようにして」
「ふんふん」
「後から、ちょっと押さえてあげて」
「なるほどね」

マニュアルなのかなぁ。
ほとんどの美容師さんは、髪とか肌を擬人化する。
トリートメントでマメにいたわってあげましょうね、とか
トップにボリュームを持たせてあげると、とか。
考えてみれば変な言葉遣いなのに、
ほぼ違和感なく浸透してしまっている。
そういえば、調理番組に出ていたコックさんまで
「弱火でゆっくり煮込んであげることが大切です」
などとのたまっていた。
「煮込んで揚げる」と勘違いされたらどうするのでしょう。
今や髪もカブもヒト扱いだ。

見習い美容師さんの言葉を聞きながら、
つらつら思っているうちに、メイク直しも終盤へとさしかかる。
「とってもキメの細かい仕上がりですよ」
可愛い笑顔で鏡の中の私に語りかけながら、
最後に彼女はキメ台詞とばかりにこう言った。

「こういう付け方をしてあげると、お顔も少しは小さく見えるんですよぉ」

な・・・なんつった、今?
少しは。・・・「少しは」?少しはって、おぃぃぃぃ!
あのね。あのね。
この場合、「少し」に「は」をくっつけちゃうと、
どういう意味になるかわかってる?
「お顔の大きさに比して決して充分ではありませんが、少しは」とか、
「この付け方でもとてもカバーしきれませんが、少しは」とか、
「私の力ではこれで精一杯ですが、少しは」とか、
そーゆー意味になっちゃうのよ。
失礼じゃない?
いくら私がカット料金のみで眉カットもメイク直しもサービスしてもらう
セコイお客だとしても、そりゃあんまりじゃない?

目をまん丸く見開いた私の、胸の内にも気づかずに
「ねー?」と可愛く微笑みかける見習い美容師さん。
思わず苦笑しながらも、「そうねー」と応えてしまう私。
彼女にはまったく悪意なんてないのだ。
ただ、髪や肌をヒト並みに扱うぶん、
ヒトに対する言葉遣いがおろそかになってしまうだけなのだ。

そういう言葉に引っかかりを感じてしまうのは、
やはり職業柄なのか、それとも年のせいなのか。
そんなことを考えていたら、
「少しは」お顔を小さく見せる超微粒子ファンデーションを
うっかり買い忘れてしまった。残念。




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by onlymoonshine | 2006-12-21 11:48 | moonless
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