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北の国へ嫁ぐ従姉妹へ

年の離れた従姉妹が金沢へお嫁に行きます。
金沢には、私は一度しか行ったことがないけれど、
お酒の美味しいところでした。・・・ってそれだけかぃ!

いや、あのね。
一緒に行った人、っていうか、その当時の恋人がね、
金沢の街を巡るより小松空港で飛行機の写真を撮りたがってね。
小松空港って、自衛隊の小松航空基地があるんですよね。

こう言っちゃ失礼なんですけど
小松空港って特に見るべきものもないし、
飛行機にも全然興味は持てない私なので、
「私は金沢観光するから、写真撮ってくれば?」と言ったら
ガゼン不機嫌になりあそばしましてね、
「せっかく一緒に来たんだから、俺も観光する」
とは言ってくれたんですけど、
武家屋敷や兼六園を巡っている間中、
むっつりしてるし、足も止めないし、
おぉい、観光って競歩でするもんなの?というくらい
早足でずんずんずんずん行っちゃうので、
音をあげた私が「もう、いいよ。小松、行く?」と聞いたら、
パッと目を輝かせて「えっ、いいの?行こう、行こう」って
浮かれ始めましてね、
それから彼は半日飛行機撮影。私は車の中でずーっと読書。

「ああ、楽しかった」という彼を、
帰りに寄った東尋坊の上からちょっと押そうか、と思いましたが、
いきなり火サスの主人公になるのもいやなので、
日本海へ終わりかけた恋を投げ捨てて帰ってきました。

だってさぁ。
立派なカメラ持っていったのに、
写ってるのは飛行機の写真ばっかりなんだよ。なんじゃ、そりゃ。
哀しみ本線日本海。恋の終わりは日本海。

こらこら。
嫁ぐ従姉妹に、ふさわしくない話の流れだわ。
まあ、従姉妹はこのブログの存在すら知らないのですけれど。

そうね、嫁ぐ日にふさわしく、
彼女が生まれたときのお話を。

従姉妹が生まれたのは、私が大学1年生のとき。
そして、くしくも彼女の誕生日は、当時の恋人と同じ日。
あ、ヒコーキ写真男ではないです。
高校の頃から片想いをしていた憧れの先輩で、
白いフォルクス・ワーゲンに乗ってたから
ワーゲン男としておこう。(いいのか、それで)

静岡で従姉妹が生まれ、上にもまだ小さな兄弟がいるので、
私は2週間くらいの予定でおばちゃまの家へ家事手伝いに
行くことになりました。
たかが2週間。されど2週間。
当時は携帯電話もポケベルも出回ってませんから、
連絡を取ることもままならない2週間は長い。

慣れない手つきで料理をしたり、おむつを洗ったり、
やんちゃな従兄弟たちと遊んだりしながらも、
心はいつも「彼は今頃どうしているのでしょう」という
せつない気持ちでいっぱいでした。
その頃おばちゃまとおじちゃまは、従姉妹の命名で
ちょっともめたりしてました。

何日かたった頃、私は大学の用事で、
半日だけこちらへ戻ってこなければならなくなりました。
どんな用事だったのか、忘れてしまったけれど・・・
もしかしたら、先に延ばしても大丈夫な用事だったのかもシレナイ。
「帰ってくれば、少しでも彼に会える」という憶測が
「どうしても戻らなくちゃいけない」コトにさせてしまったのかもシレナイ。
いや、きっと、そうなのでしょう。

おじちゃまは、たぶんそんな私の胸の内を見透かしていて、
それでも私に気をつかってくれて、
「じゃあ、おじちゃんのおつかいも頼むね」
と言って往復の新幹線代をくれました。
おじちゃまのおつかい。
それはヤマサちくわの「半月」を買ってくること。
もちろん、静岡でも買えたのです、きっと。
こちらへ戻る名目を与えてくれようとする、気遣いのおつかい(ウマイ)。

かくして。
舞い戻り、大学の用事をすませ、「半月」も買って、
あとは駅で彼を待つばかり。
彼は名古屋の大学に通っていたので、急いで帰ってきても
私が静岡へ戻る新幹線の時間まで
ほんのちょっぴりしか会うことはできません。
(そこはさすがにおじちゃまも、預かった姪っこの帰宅時間を
厳しく指定していました)

まだかな、まだかな。
刻々と過ぎる時間。
息を切らせて、恋人が走ってくるのをみつけた瞬間、
私はぽろぽろ涙を流していました。
BGMは郷ひろみ「よろしく哀愁」。
♪会えない時間が 愛育てるのさ~ Yes 高須クリニック

あの頃は何がそんなに不安だったんだろうね。

元来無口な人だったので、交わした会話も
「従姉妹の名前は○○ちゃんに決まったよ」とか
「おじちゃんが半月買ってきて、って言ったの」とか
私が一方的に報告する普通の世間話みたいなものでしたが。

駅で立ち話するだけの短い逢瀬はあっという間に終わり、
私は彼に見送られてまた静岡へと戻りました。
ところがです。
それから3日もたたないうちに、
私は40度の高熱を発し(たぶん知恵熱
これでは致し方ない、と家へ送り返されたのです。
ああ、なんて役立たず
ふがいない姪を許して、おじちゃま、おばちゃま。


本格的な遠距離恋愛、という経験のない私には
金沢との遠い距離を超えて結婚することになった
従姉妹の喜びは想像することしかできないけれど。
よかったね。
これからは毎日一緒だね。
毎日一緒は一緒で、いろーんなことがあるけれど
会いたくて、会えなかった頃の気持ちを
ずっと忘れないでいてね。

雪景色の金沢で、従姉妹夫婦が迎えるクリスマスが
あったかくて素敵なものであるように、
役立たずのお姉さんは祈っています。


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by onlymoonshine | 2006-11-20 16:02 | crescent moon
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