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ハナミズについて考える

Sunshine Market」からの持ち越しネタですけれども。

ん~、なぜか、「Only Moonshine」は見ることが出来るのに、
「Sunshine Market」は見られないよぅ、という方が
いらっしゃるようなのですね。
私には理由がイマイチわからないんですが。

だからといって、同じネタで2つのコーナーを引っ張ろう、という
そんな魂胆はないのですよ。ええ。
向こうでは触れてない部分に言及していこう、というね、
そういうココロミなわけです。
両方読めるのが一番いいけど、
こっちはこっちで成立させましょう、と。
なんだかんだ言ってネタ元は一緒なんですが、
風邪ひきさんだしね、勘弁してやってくださいませ。


*「Sunshine Market」が読めない方のための解説。

先週からの風邪をいまだに引きずっている私は、
痰のからんだ痛い咳に苦しんでいる。
薄々勘づいていたことだけれど、
痰とハナミズの成分はほぼ同じはず。
口から出れば痰、鼻から出ればハナミズ、と
呼び名が変わるだけのことだろう。
だが、同じ成分であるとしても、
出来ることなら、全て鼻から放出してしまいたい。
口から出るとなんか汚い感じがするし、
カアアアアアッ、ペッ!ってゆーのがどーにも親父くさいし、
それに、痰がからんだ咳ってすごくすごく痛いから。

そんなわけで、必死で鼻をかみまくっている私である。

                        (解説終わり)

さて。
鼻をかむ、という行為も実はあまり格好良いものではない。
少女時代には非常に抵抗がありました。
音も、なんかね、ズビビビィとかいうし。
でも、もちろん時と場所を選びはしますが、
いつの頃からか世間的に、
さほどの抵抗がなくなったように思います。

これを、私なりに分析するとね。
まず、抵抗がなくなってきた第一の理由は

①花粉症の大流行。

これだと思います。
花粉症というのが世の中に認知され始めてから、
鼻がムズムズする、ハナミズが止まらない、という症状を
みんなが「致し方のないもの」と容認するようになった。

ハナミズが容認された、この背景の大きなポイントは
「花粉症」が幼児~若者の間で広く蔓延したことにあるでしょう。
もちろん中年以上の層にも花粉症に悩まされている人はいますが、
基本的には「若者発」の新しい病気。
これがオジサマ、オバサマの間に蔓延した病気だったら、
いくら「花粉症だから」と鼻をかんでも
うわ、ダッサーい、汚~い、信じられな~い、と
若者層から総攻撃を受けたに違いありません。

おまけに「田舎に住んでる人は花粉症にならない」とか、
「ギョウ虫検査で引っかかったコトのある人は花粉症にならない」等、
様々な説が囁かれたりもして、結果、
「花粉症はデリケートな現代人の病気」
という認識が生まれ、
「花粉症(=デリケートな現代人)だから鼻をかんでもしかたない」
という理解の仕方につながったのではないでしょうか。

これがね、オジサマにのみ蔓延した病気で、
「鼻から出そうが口から出そうが同じ成分」だとして、
昔はどこの駅にもあったという「痰つぼ」に
カアアアッ、ペッ!とやる姿を若者が容認したかというと
けしてそうはしなかったと思うんですね。

そして、さらにもうひとつ、
ハナミズに対する抵抗をなくしてきた原因をあげるとするならば。

②女優の“泣き”の演技における変化。

これは、あるんじゃないでしょうか。

一般的に、人間は泣くとハナミズも出ます。
鼻と喉だけじゃなく、
目もつながってる、という証明ですね。
涙を流すのと同時に鼻をすする、というのが
“泣き”のパターン。
ところが、ほんの十数年前くらいまでは
女優さんは涙を流しても、ハナミズを見せることはなかった。
その頃彼女たちに求められていたのは
「美しく泣く」ことだったのです。

でも、時代とともに、映像にも演技にもリアルが求められてきた。

たとえばラブシーンでもそうですが、
昔は「ここまでが限界」というお約束みたいなものがあって、
あとは観る人の想像力におまかせ、だったんだけれど、
どんどん、見せる方向へと移行してきております。
女子高生のスカートがどんどん短くなったように、
拍車がかかっていくわけですね。
見えそうで見えない、なんて言ってはいられない。
見せましょう。でも、見せても大丈夫なパンツをはきましょう。
そんな感じ。

ハナミズからだいぶズレました。

ラブシーンと同様、泣きの演技も
美しさからよりリアルな泣きへ。
そこで登場したのが「ハナミズ泣き」だったのです。
いや、実際はハナミズを出そうとしたわけじゃないと思う。
本気で泣いたらハナミスもどんどん出る。
すすっても、すすりきれないほど出る。
そして、この「すする音」というのも結構やっかいなのです。

これは私も舞台で経験したことですが、
泣きの場面というのは大体静かなものです。
そこに、鼻をすする音がやけに響き渡ってしまう。
なるべくハナミズが出ないようにしたいのですが、
舞台って昼公演・夜公演があったりするので、
昼間に一度泣いてると夜は涙腺がゆるんでいて、
涙を我慢していてもハナミズだけは出てきてしまったりする。
静かな場面の、聞かせどころのセリフに混じって
「スンスン」、「ズズ、ズズ」、と鼻をすする音。

「おまえ、ちょっと鼻すする音がうるさい」

と、演出家にダメを出された私は、苦肉の策で
ハナミズが限界に来たところで相手役の胸に顔を埋め、
相手の衣裳の裏側で垂れてきたハナミズを拭く、
という暴挙に出ました。
相手役は最初、「今日はなんて情熱的な演技」と
思ったらしいのですが、のちほど私が
「衣裳の裏側、ガビガビになってない?」
と謝りに行ったことで全てはバレてしまい・・・演出家は

「ハナミズくらい垂らせ!テレビでも垂らして泣いてるぞ!」

と、怒りました。
そうなのです。
リアルな「ハナミズ泣き」が容認されてきていたのです。

私の記憶が確かならば・・・元祖「ハナミズ泣き」は
「金曜日の妻たち」の小川知子さんの演技。
美しい女優さんが、愛する人の前でハナミズを垂らして泣く。
たぶん、きらりと光る一筋のハナミズに気づいた時、
「あっ!」と思った人は多かったのではないでしょうか。
と、同時に
「・・・アリなのか」と、やはり多くの人が思った。
その後、映像の世界でハナミズ泣きが広まっていくに従い、
世間もハナミズに対して寛容になっていったのだ、と
私は思います。

若者発の「花粉症」と、女優さん発の「ハナミズ泣き」で
世間に認められてきたハナミズ。
そのうち日本でも、イギリス人とかのように
ハンカチを広げて鼻をかむ、という行為が
当たり前になるのでしょうか。
鼻をかんだハンカチ、洗うのって大変じゃないかな~、
もしかして、あれって使い捨てなのかな~、
などと考えながら、
今日も箱ティッシュを空にしてしまう私なのでした。
by onlymoonshine | 2006-09-29 11:25 | moonless
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