チュトワイエ

フランスの小説を読んでいると

チュトワイエ (tutoyer きみぼく、で話す)

という言葉によく行き当たる。
つまり、親しく口をきくということ。その反対が

ヴーヴワイエ (vouvoyer 他人行儀な言葉遣い)。

英語のyouにあたる単語が仏語では tu と vous 、
日本語だと「きみ」と「あなた」の違い、だろうか。
仏語は主語(僕、君、私、あなた、彼女、彼...)で
その後に来る動詞が全く違うものになるから、
tu と vous のどちらを遣うかで、
言葉遣いそのものが変わってしまう。

日本でもそれは同じで、
「きみ、こっちこない?」っていうのと
「あなた、こちらにいらっしゃいませんか?」っていうのでは
親しさ、というか、くだけ方が全然違う。
でも、フランスと日本で違うな、と思うのは、わざわざ

「今日からきみ、ぼくで話しても構いませんか?」

なんて、あまり聞く人がいないっていうこと。
何度か顔を合わせたり、話したりするうちに
自然にそうなる場合がほとんどだと思う。
お互いの空気、みたいなものがそうさせるんじゃないのかな。
と、いってしまうと、フランス人が空気の読めない人々みたいだけれど、
あくまで「礼儀をわきまえた」人々、なだけかもしれない。

以前、ちょっと呆気にとられたのは
初対面で、それも初めて口をきくときに呼び捨てにしたひとだ。

(注:アニー、っていうニックネームについては別。これは「さん」イラナイと思ってる)

それは友達の旦那さまで、
たぶん友達から色々私のことを聞かされていたのだと思う。
話を聞いたり、友達と一緒に撮った写真を見たりするうち、
もしかしたら旧くから知っている友達みたいに
感じてしまっていたのかもしれないけれど、
初めて会った時にいきなり

「おぉ、○○!(←本名)」

と、ものすごく明るい笑顔で言われて、
私も、私の隣にいた当時の恋人も目をまんまるくした。
その後、それぞれの車に乗り込んで目的地を目指す間、
恋人だったひとはずっと

「・・・ナンデ呼び捨て?・・・ナンデ呼び捨て?」

と、ブツクサ言っていた。
私はそれから、その友達の旦那さまのことを密かに

「チュトワイエなやつ」

と呼んでいる。
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by onlymoonshine | 2006-05-24 17:41 | crescent moon
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